本物の馬主とどう違うの?
正式な馬主との違い
一口クラブの会員になるだけでは、JRAの正式な馬主資格を有することにはなりません。JRAには出資者を代表する形でクラブ法人が馬主として登録されているため、例えば競馬場の馬主席やトレセンへの入場など、通常馬主に認められている馬主行為の多くをクラブ会員が行うことはできません。
また、ローテーションや騎手起用、引退時期など通常、馬主と調教師との間でなされるさまざまな方針意思決定は、クラブと調教師とでなされます。その馬の方針を巡って、時にはネット上のSNSや掲示板、あるいは出資仲間が集まった競馬場や居酒屋などで侃々諤々の議論が起こる場合もあり、人によってはそれはそれで楽しんでいたりするものですが、もちろんそういった議論が実際の意思決定に反映されることはありません。
とはいえ実際の馬主でも重賞クラスの馬でもないかぎり、ローテや騎手は調教師にほぼお任せというパターンは意外と多いのですが、一口会員はいかなるケースでもクラブと調教師に全権を委任していることが特徴的といえるでしょう。
このため、データやさまざまな経験を経ながら、自分の考えに合った厩舎やクラブを見つけることも、長い一口ライフを楽しむ上では重要なポイントの一つになってきます。
このあたりが実際の馬主とクラブ会員との分かりやすい境界線でしょうか。
「できること」もいろいろあります
逆に、個々の会員が「できること」としては、牧場系のクラブの多くは出資馬の幼駒時代や休養中などに、北海道や関東・関西近郊の牧場見学で愛馬と間近で会うことが可能であったり、競走馬名の命名もほとんどのクラブでチャンスがあり、またかつてはできなかった、競馬場においての口取り式への参加も現在は可能になっています。
出資馬の近況も幼駒時代は月に1~2回、入厩後は毎週各クラブの公式サイトで詳しくレポートされ、レース出走後には多くのクラブで当日中に騎手や調教師のコメントが速報されます。またもちろん近況写真や、クラブによっては動画も定期的に提供されるため、IT化社会の到来により、ある意味実際の馬主に勝るとも劣らない情報量で常に出資馬の最新の状況が把握できる時代になりました。FAXや郵便・電話などがクラブの情報発信の主流だった一昔前に比べると、出資馬をグッと身近に感じることができるといえるでしょう。
一口クラブはインターネットどころかグリーンチャンネルすら無かった時代から存在しましたが、当時と現在のクラブ会員が入手できる情報量や利便性を比べると、まさに隔世の感があります。
また、外部環境的には、正式に商品ファンドとして金融庁の管轄になったことにより、各クラブの運営がオープンでクリーンな方向に進んだことも、昔と比べると大きな変化としてあげられます。
もちろん欲を言えばきりがありませんし、費やしている金額にもよるでしょうが、正式な馬主との背負っているリスクの差などを考えると、一口を手軽に楽しむための環境が、現在では十分整っているといえるのではないでしょうか。
[ 表・正式馬主との主な違い ]
競馬場馬主席への入場 | × クラブによっては定期的に抽選で招待も |
優勝時口取り式への参加 | ▲ 最大10名(重賞:20名)、会員本人のみ。 参加者の人数・決定方法等詳細はクラブにより異なる |
牧場訪問・実馬見学 | ▲ 募集馬展示ツアー及び牧場・外厩への個別予約訪問。 可否、手法など詳細はクラブによる。 |
命名権 | ▲ ほとんどのクラブでは会員からの公募による |
トレセン・厩舎訪問 | × |
調教師への指示 | × |
調教師からの報告 | ▲ クラブからのレポートの形でHPや写真等で把握可能 |
現役引退の意思決定 | × |
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