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2019-03-24現在データ
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出資馬選定のポイント

さて、一通り一口馬主のしくみを解説してきましたが、ここでは誰もが最初に悩むポイントになると思われる、出資馬の選定に関して、ぜひ覚えておいて頂きたい基礎的な事項を中心に解説をしておきたいと思います。

「走る馬」は誰にもわからない?

出資馬の取捨選択を的確にしていけば、どうやら利益を出すことも不可能ではなさそうだ、と「一口馬主は儲かるの?」の項で説明しましたが、ではどうすれば馬の素質を見分けることが出来るのでしょうか?

この話をする前に、根本から覆してしまうようですが、相馬眼(=馬の能力を見分けるスキル)に関して、名調教師の著書から興味深い発言をそれぞれ引用させていただきます。

「調教師というのは馬を見る目があるに違いない」と思っている人が多い。とりわけ、ある程度の成績を挙げている調教師は優れた相馬眼の持ち主だと思われがちだ。
しかし、それは誤解である。少なくとも私の馬を見る能力はゼロに等しい。今までたくさんの馬を見てきたけれど、ほとんど分からない。


馬主によっては「お金は出すから好きな馬を競り落としてもいいよ」と調教師に馬選びを任せるケースもありますが、私の場合、当歳や1歳の時に、「この馬は走りそうだな~」と思っていても、ほとんど当たりません。相馬眼がないな、と思っています(笑)。


「調教師には相馬眼がある」と思われているかもしれないが、少なくとも私には、馬の姿かたちを見ただけで、「この馬は走る」などと、とてもじゃないが断言することはできない。年間何千頭と生まれるサラブレッドのなかから走る馬だけを探し出せといわれても、私にはとても無理だ。

各調教師のキャラクターまでご存じない方は、「そうは言っても自分の本の中だし謙遜してるだけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、各著の他の箇所を読むだけで一目瞭然なように、ご自身の能力とその実績にプロとして強い自信を持たれている方々です。

さて、プロ中のプロであるはずのトップトレーナーが「分からない」と言っているのに、素人である一口馬主が写真や牧場見学だけで走る馬を判別するのは、とても無理なように思えます。

募集価格と成績の関係

上のトップトレーナーたちのコメントに共通してるのは、「見ただけでは走る馬は分からない」ということです。では、何を基準にして馬を選んでいるかについて、再度プロの知恵を見てみましょう。

では、馬の良し悪しを見極めるもっとも確実な指標はなんだろうか。私は”売買価格”だと思っている。馬につけられた値段が、その馬の持つ可能性をもっとも端的に表しているといっていい。
~(中略)~
じつをいうと、走らない馬はだいたいわかる。つまり、競走馬としての素質を備えてない馬だ。そういう馬は体のバランスが悪かったり、体つきがサラブレッドのそれでなかったりと、極端な欠点があるから、九割以上の確率でいい当てることができる。


ただ、馬が最初に持って生まれてきた能力というのは、血統に重きがあります。もちろん良血でなくとも、高い能力を持って生まれてくる馬もいますが、高い馬、良血馬のほうが走る確率も高いと思います。

・価格や血統がおよその能力をあらわす
・走らない馬はだいたい分かる


この2つのポイントは、実はトップトレーナならずとも、一口馬主歴をそれなりに積んでいくと、大体経験則で身についてきます。

まず、価格に関してはクラブ間の値付け政策の差もありますし、牡馬牝馬の差もあるので一概にいくら以上なら走る、走らない、というデータを示すのは難しいですが、例えば当サイトのクラブ馬検索で、獲得賞金トップ25のクラブ馬リストを見てみましょう。どうでしょう?意外とクラブ馬としてはそれなりのお値段の馬が多いことに気づかれるのではないでしょうか。

時期により変化しますが、このTOP25クラブ馬の平均募集価格は、おおむね4000万円前後で推移します。クラブ馬の平均価格は毎年2000万円前後ですので、ちょうど平均の倍です。また勝ち上がり率、重賞馬率といった指標もほとんどのクラブで価格と比例して高くなります。

もちろん、1000万円前後の募集価格の馬でも、重賞を獲ったり、1億円以上稼いでくれるような活躍をする馬もほぼ毎年出ていますし、そうした馬を引き当てた時の醍醐味もなかなかのものです。また、ダートや短距離の条件戦で長くコツコツ稼いでくれそうな、マイナー血統の安い馬を中心に狙うのも一口馬主を楽しむスタイルの一つです。安い馬の場合、引退時の抹消給付金や見舞金で、馬代金の結構な部分をまかなえるという、経済面からみた安心感もあります。

ただし、クラシックなどの大きいレースや種牡馬入りするような馬を狙っていく場合には、やはり馬代金が高い方が可能性は高くなる、ということは覚えておきましょう。


ヒットの延長線上にホームラン?

2番目の「走らない馬」の見分け方に関しては、我々素人でも、馬体の見方を勉強することである程度ですが判別することは可能です。経験を積めば森師のおっしゃる「体のバランス」感はなんとなく分かるようになってきますし、また各部のパーツでは例えば「繋ぎの角度」があらわす意味を勉強するだけで、その馬の将来が少しは見えてきたりするものです。(当サイトの「馬体の見かた講座」や「馬体チェッカー」などもご活用ください)

また、出資前の牧場見学・ツアーは、実馬を間近に見ることにより、馬体の立体的な観察はもちろん、競走馬にとって重要な要素の一つである「気性」も確認できる貴重な場です。仔馬時代に一度会っておくと出資後の思い入れ、勝利時の喜びも違ってきますので、時間とお金が許せば活用したいものです。

JRAでデビューする馬の平均勝ち上がり率は33%前後、クラブ馬に限っても40%前後の、1勝するだけでもなかなか厳しい勝負の世界です。「走る馬は分からないが走らない馬は分かる」ということを、プロ野球の一流選手がよく用いるセリフで例えると「ヒットの延長線上にホームランがある」という表現がしっくりとくるかもしれません。

重賞、G1級の「ホームラン」を狙って打つことはどんな強打者でも難しく、打率も4割が大きな壁です。この中で自分なりのストライクゾーンを設定した上で、ボール球は見送り好球は逃さず「ヒット」にする、つまりは勝ち上がる馬を平均よりも高い確率でコンスタントに選べるようになることが、結果的に活躍馬を数多く引き当てる近道といえそうです。


クラブによる傾向も考慮して

もちろん、当サイトで豊富に提供している様々なデータからも「走らない馬」の確率を判別することはある程度可能です。提供牧場や厩舎、血統などの相性や活躍可能性を探ることは参考になりますし、さらに言えば、クラブごとの投資回収率も実は結構な差がありますので、当サイトの「クラブ分析データ」を活用頂ければ参考になるかとは思います。

ただし、一概に勝ち上がり率や回収率が高いクラブに入れば走る馬を掴みやすい、というわけではないところが一口の奥深いところでもあります。人気を集める馬への出資は、人気が高い=会員数が多いクラブほど競争率の関係で難易度が高くなり、さらに「人気のクラブで複数の人気馬への出資」となると極めて難しくなります。

一方で、逆にそれほどクラブ全体の回収率が高くなく、満口馬が少ないクラブでも、走る馬の傾向さえ掴めればむしろ走る馬を見つけやすい、入厩時期まで成長を見極めたうえで好きな馬を複数持てる、また自信がある場合は自分が出資したい口数を自由に確保できるなど、自分主導のタイミング、手法で出資しやすくなり、回収率の向上につなげることもできます。また、売れ行きが良かった馬だけが走る、というわけでは必ずしもないことが、当サイト「名馬の募集カタログ」の売れ行き情報などでも確認できます。


複数のクラブに入る意味は?

複数のクラブに入会される方が非常に多いのも、このあたりに理由がありそうですね。当サイトの会員データでは、約40%もの方が複数クラブで並行して出資していますが、なぜでしょうか。初心者の方が、いきなり複数のクラブに入ることはあまりないかと思いますし、最初から推奨するものでもありませんが、出資馬検討に密接に関わってきますので、ここでいくつか、加入クラブを増やす理由について、具体的なポイントを挙げておきましょう。

-出資の選択肢を広げる
例えば株であれば、一つの証券会社に口座を作れば、基本的にすべての上場株の取引が可能です。また、株は人気になっても一時的なストップ高はあるにせよ、値段が上がるだけで売り切れることはありません。

一方、一口クラブ馬の場合は、加入するクラブにより出資できる馬が限定され、さらに満口になってしまえばその馬には当然出資できませんが、加入クラブを増やすことで、単純明快に出資の選択肢を増やすことができます。

外部から見ているとなかなか分かりませんが、一口の出資権利を得るにあたっては、さまざまな思惑や競争が、時にはし烈に発生し、10倍以上の競争率になることもあります。クラブが募集する頭数は、JRAの規定により「同一馬主入厩頭数制限」という縛りがあるため、どんなに会員数が増えても、各クラブ1年度100頭弱が限度となります。そのため、入会したクラブが好調になればなるほど、会員視点で見ると年を追うごとに出資競争率がどんどん高くなっていくジレンマが生じます。

また、一つのクラブのみで続けていると、時には「うーん、今回の世代はぜひ出資したいという、好みの馬がいないなあ」という年が、どうしても出てきます。この場合、その世代自体の出資を見送るか、妥協した馬に出資するか、という消極的な選択を迫られる形になりますが、複数のクラブに加入していれば、「この世代はこちらのクラブの出資は控えて、好みの馬がいた、あちらのクラブのみで出資しよう」と割り切ることができるため、一口ライフの最大の敵ともいえる「退屈」や「後悔」を減らすことができます。

-クラブ毎の性格の違いを楽しむ
一口クラブの種類を教えて」では、クラブにはそれぞれ特色があることを説明しましたが、複数のクラブに加入していれば、例えば社台系クラブで流行のブランド血統を、日高の中小牧場系でマイナー血統の掘り出し物を、バイヤー系クラブで新鮮味のある血統を探したい、といった毛色の違う出資を楽しむための幅を広げることができます。

-リスクヘッジ
さらには、やはり勝負事ですので、どのクラブにも大なり小なり好不調の波が必ずあり、仮に今好調、あるいは不調なクラブでも、それは2~5年前の募集馬の結果の積み重ねであり、現在募集している馬の代も同じような成績を残してくれるのかどうかは、やっぱり走ってみないと分かりません。複数クラブへの加入は、そういったリスク分散も兼ねているとも言えるでしょう。

また、クラブの成績が、自分の成績とは必ずしも一致しない世界のため、自分とクラブの成績上の「相性」も、長い視点で見ると大事になってきます。

最初は直感!あとは経験?

さて、様々な経験を積み、自分なりのデータの読み方や出資戦術が確立されてくると、出資対象が自然に絞り込まれ、結果として投資対利益が少しずつでも改善していきますし、自分の中のルールや好みが確立されていくことで、選定時の迷いや後悔も減るので、一口馬主ライフがぐんと楽しくなってくるものです。この辺りは馬券と似てるかもしれませんね。自分なりの判断基準を作る上では、さまざまな視点からデータで出資馬を分析する、当サイトの「出資馬検討ツール集」などもご活用ください。

ただし、まだ判断基準が確立されていない、つまり最初の出資に関しては、好きな父・母の仔であったり、ファーストインプレッションを信じて出資するのもよろしいかと思います。馬券のビギナーズラックと同様、この世界でも最初になんとなく出資した馬や、お子さんや奥さんがカタログ写真の雰囲気だけで選んだ馬がすごい成績を…というお話は意外とよく耳にしますし、また思い入れのある血統に出資することは、一口を楽しむ上での大きなポイントの一つでもありますので。

ちなみに、ブログなどの口コミ情報や他者による募集馬の評価は、もちろん使いこなせれば参考になる情報も多々あり、自分とは異なる視点を見聞きするのは楽しいものですが、まだ自分なりの馬の見かたが築けていない段階では、情報の取捨選択において、逆に混乱を招く場合もありますので、最初のうちはあまり頼りすぎず、まずは自分なりの判断と結果を積み上げて、経験値を上げることを優先した方がいいでしょう。先述したような出資競合が激しい場合においては、情報にバイアスが掛けられている可能性もありますし、投資である以上、最終的には自己責任の世界です。


同じ予算なら複数頭への出資検討を

最後に、これは経験しないとなかなか実感できませんが、一口ライフを楽しむ上では非常に重要となる出資のバランス、株などの投資の世界でいう「ポートフォリオ」的な部分についても触れておきたいと思います。

大前提として、もし予算的に最初から複数口を出資可能であれば、いきなり1頭に絞って勝負にいくよりは、同じ予算で2~3頭の複数の馬に分散して出資することを初心者の方には強くお勧めします

武運なく勝ち上がれずに1~2年後に持ち馬がゼロから再スタートとなるリスクを和らげるとともに、一口の最大の醍醐味である愛馬の出資馬選定やレース観戦を、より早く数多く経験できるためです。こういった経験の数は一口の基本的な楽しみ方を知る上で、厩舎ごとに個性があることを理解する上で、また自分なりの馬の選び方を身に付けていく上で、などなど様々な面で今後の一口ライフを送る上での大きな財産として生きてきます。


また、距離やコース適性、牡馬牝馬など様々なタイプの馬が入り混じることで、多様な路線を楽しめることがこの趣味の面白さでもありますので、複数頭に出資する場合は血統や馬体、カタログの推薦文などから推測して、タイプの異なる馬に意識的に出資されるのもよいでしょう。

このあたりは厩舎運営における馬の仕入にも通じる部分のようで、高額馬に頼らずとも短期間でトップトレーナーの一角となった矢作調教師などは、馬主さんに長く楽しんで頂きながら厩舎の成績を上げるために、以下のような方針をお持ちのようです。

1頭で結果を出すことは運任せの部分があるが、同時に同じ馬主さんの馬を2頭から3頭を管理させてもらうことで、リスクを減らして確実性を高めることができる。
(中略)
何頭かセットで買ってもらって、馬のバラエティを揃えることは、厩舎内でバランスをとることにも繋がる。芝とダート、短距離と長距離など、できるだけ偏りをなくすように配慮している。

1頭なら確率上、約40%の勝ち上がり率ですが、2頭ならいずれかが勝ち上がる確率は64%に、3頭なら78%に跳ね上がります。また、バリエーションを豊かにすると、それぞれ主戦場が異なるレースを楽しめます。

また、同じ路線に複数頭の出資馬がいる場合、愛馬が同じレースで対決する可能性が高くなります。特に、新馬・未勝利や下級条件など、勝利への願望が高いレースでかち合うと、出走前から少し複雑な心境になります。似たタイプの馬を検討する場合、美浦・栗東の所属で分散させるのも一つの手です。


こうしてバランスを取りながら、毎年継続的に出資していくことで、数年後には世代ごとに「デビューを迎え能力が明らかになってくる2歳勢」、「クラシックにチャレンジしながら急成長する3歳勢」、「交流重賞を目指すダート勢」、「それぞれのポジションで奮闘し完成形に近づく古馬勢」のように楽しみ方が少しずつ異なる世代と路線が、同時に進んでいく醍醐味と馬主気分を味わえる点が、一口馬主の面白いところです。

古馬にオープンや準オープンクラスでコンスタントに稼ぐ馬、いわば出資馬の「大将格」や「副将格」がどっしりと構える布陣が築ければ、収支は一気に安定して、精神的にも余裕を持って次世代の出資検討や応援が可能になります。


現役馬頭数が少ないと?

それでも、「いや、自分は一頭入魂したい! ダビスタやウイポでも何頭もいると管理が大変で思い入れも薄れた」、あるいは「分散ではなくあくまで一頭に大きく出資したい!当たった時のリターンを最大化するために馬券でもそういうスタイルだ」という方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん楽しみ方は人それぞれですし、そういった考え方も一理ありますので否定するものではありません。ただ、その馬が走る走らない以前に、ゲームの世界とは違い現実では「時間のスキップ」が出来ない以上、現役馬が少ないと、どうしても休養期間が頻繁に発生し、間延びしてなかなか年間を通じて楽しめる「趣味」にはなりづらい点だけは否めません。現役馬1頭あたりの年間出走回数は、故障馬なども含めて平均すると5走に未たない世界です。


一口を楽しむ上での頭数は?

実は、いまひとつ一口ライフを楽しめていないという方のお話を聞くと、費用の解説ページで触れた「維持費をやや無理しているため、出資馬のちょっとしたアクシデントや不調でストレスを抱えやすい」か、本ページで触れたような「少頭数、例えば現役馬1~2頭で運用しているため、年間出走回数が少ない」ケースが多いように見受けられます。

「1頭試しに出資してみたけど、勝ち上がれなかったし面白さもいまいち分からなかったから、それきりでやめちゃったよ」のような声を稀に聞くと、本当にもったいないと感じます。もちろん現実の大馬主さんのように何十頭もというのは現実的ではありませんが、それなりの頭数、世代が揃って自分だけのポートフォリオが充実してくることで、この趣味の楽しさも2倍3倍と比例して大きく膨らんでいくということを、ぜひ頭の隅に留めて頂きたいと思います。

まずは自チームの主力を揃え、活躍や引退状況に応じながら、予算と相談して毎年新戦力を補強し、安定した好成績を目指すという意味では、自分だけのプロスポーツチームを作り、運営していくような感覚に近いと言えるかもしれません。

参考までに当サイト会員の皆様の平均現役出資頭数は約5頭です。5頭いれば平均的には月2走程度はしてくれる計算になりますので、多くの人にはほどよい頭数になるのでしょう。まずは数年かけてこのあたりの頭数を揃えて運用するイメージで、毎年の引退馬に応じて新規出資頭数を調整しながら、ご自身にとって最適な頭数、口数、出資スタイルを確立していきましょう。