第5回 一口馬主の源泉税のしくみ
さて今回は、一口馬主の税金を語る上で欠かせない「源泉税」についてお話をしたいと思います。本連載でも重要な部分になってきますので、今回で基本的なところを、次回でもう少し踏み込んだところをお話する予定です。
源泉税とは?
サラリーマンの方は、会社からお給料をもらいますが、そのお給料は、皆さんご存知のように税金(所得税や住民税)があらかじめ引かれて振り込まれます。そのような、「あらかじめ引かれた税金」のことを、源泉税といいます。
給料の源泉、つまり、給料を支払う側の会社が、税金を負担すべき人(従業員)の所得税を徴収して国に支払っていることから、「源泉税」という名前がつけられています。
なぜ支払う側が税金を払うかというと、簡単に言ってしまうと「取りっぱぐれ」がなるべく少なくなるようにするためです。
基本的に、日本の税金は自己申告制によって成り立っていますが、個人個人からの自己申告を待つよりも、支払い元からもらう方が、早く税金が回収でき取りっぱぐれも少なくなるだろう、という考え方です。
実はこの部分が、一口馬主の世界でも大きな影響を与える、とっても重要な考え方になってくるのです。
一口クラブは、2つの法人で構成されています
さて、詳しいお話に入る前に、前提として思い起こして頂きたいことがあります。
「一口馬主クラブ」はたくさんありますが、それぞれ、「
クラブ法人」という会社と、「
愛馬会法人」という会社の二重構造になっています。
「クラブ法人」が法人馬主(馬柱に出てくる法人名)で、「愛馬会法人」が、皆さんと一口馬主の事務関係でやりとりをする会社ということになります。(編集注:詳しくは「
一口馬主入門 一口馬主のしくみ・法的位置づけ」でも解説しています)
一口馬主の源泉税を理解する上では、まずはこの構造を念頭において頂く必要があります。
源泉税は、何回も徴収されている?
クラブにより多少異なりますが、一般的な賞金分配にかかる税金の流れは以下のようになります。
皆さんが所有(実際には、投資)している馬がレースで勝つなどして賞金を稼いだ時、JRAからはまず「クラブ法人」に対して、賞金が支払われます。その際、JRAはクラブ法人に対して、賞金から「源泉税」を引いた金額を支払います。
そして、クラブ法人から愛馬会法人に対して賞金の配当を払う時にも、クラブ法人源泉税を引いて支払い、その引いた源泉税を国に払う必要があります。
さらに、愛馬会法人がみなさん(出資者)に賞金の分配額を払う時にも、また源泉税を引いて支払い、引いた源泉税は愛馬会法人が国に払います。
上の図で説明すると赤い矢印でお金の移動が発生するたびに、源泉税が徴収されていることになります。
源泉税を取り戻す方法は?
このように、何回も何回も源泉税を引かれて、その残りを一口馬主の会員が受け取るわけですが、いかがでしょうか?何となく「いくらなんでもこれはおかしい」とお感じになられたかと思います。
そこは、ご安心ください。クラブにより多少異なりますが、ちゃんと源泉税を取り戻して、適正な税金を払う仕組みになっていますので、続きは次回で説明したいと思います。