2024-09-21現在データ
HOME > ノウハウ読み物 > 外国産馬の出資における傾向と対策【一口データ研究室】
一口データ研究室
気になるテーマをデータで深く分析する、一口馬主ライフに役立つレポート集
-連載中-
レポートNo.026 |

外国産馬の出資における傾向と対策

前回の「外国産馬の歴史と現在」に続いて、最近の「外国産馬」いわゆるマル外についての調査レポートをお届けします。

前回では、中央競馬における外国産馬の頭数や活躍度の変遷を俯瞰してきましたが、今回は、クラブ馬にもフォーカスを当てて、もう少し掘り下げた分析を行いながら、出資に対するリターンなども踏まえて、最近の外国産馬に出資する際に役立つデータがないか探っていきます。

外国産クラブ馬の頭数推移

それでは早速、外国産クラブ馬のデータを見ていきましょう。

以下は、各クラブで募集された外国産馬の、産年度ごとの合計頭数推移です。数字は、全体募集頭数に占める外国産馬の割合を%であらわしたものになります。


前回の中央競馬全体における推移とよく似た、右肩下がりのグラフとなりました。

クラブにおける外国産馬の募集も1990年代がピークで、全体の10%以上を占めていました。古くからの一口馬主の方であれば、当時のクラブ広告などでも、ロマンあふれる血統の外国産馬で賑わっていたことをご記憶かもしれません。歴代外国産馬獲得賞金トップであるタップダンスシチーは1997年産ですので、ちょうどピークのあたりで登場しています。

しかし、こちらも2000年産以降は大きな減少を繰り返し、ここ最近は2%前後の低水準で下げ止まっている形で、一口馬主が外国産馬に出資する機会も減っていると言えます。

外国産クラブ馬の成績推移

続いては、成績も見ておきましょう。以下は、クラブ馬の平均獲得賞金を、外国産馬と内国産馬で比較したものです。

1990年代では、赤い線の外国産馬が内国産を圧倒する賞金を稼いでいましたが、2001年産ではじめて逆転現象が起き、以後は頭数が減ったこともあって、外国産馬のブレ幅が大きくなり、一進一退といったところでしょうか。

続いては、勝ち上がり率の比較も見ておきましょう。

勝ち上がり率においては、あまり大きな下降はなく、例外的に不振だった2007年産を除けば、赤い線の外国産馬は50%前後をキープしており、内国産馬を下回ったのはわずか3世代のみです。勝ち上がり率においては、内国産馬に対するアドバンテージはなおあると言ってよいでしょう。ただし、内国産馬がじわじわとですが上げてきているため、その差は縮まっている印象です。

外国産クラブ馬の回収指標

さて、1990年代のピーク時に比べるとやや下降傾向なため、ネガティブな印象を持ってしまいますが、外国産クラブ馬の成績自体は決して悪い数字ではないことが分かりました。

一方、一口馬主の視点で見る上では、やはり投資対効果が気になることころです。続いては、外国産馬の平均募集価格の推移を、同じく内国産募集馬との比較で見ておきましょう。

1990年代では内国産馬の2倍近くの高値で募集されていた外国産馬ですが、成績と比例するように、募集価格も下落してきました。1990年代は4000万台だったのが、2000年代初頭は3000万円台、そして最近は2000万円台まで下がっています。

かつては、外国産馬に対していわば「ロマン料」のようなものが上乗せされていた感がありますが、現在は単純に、余分にかかる輸入経費などのコストが上乗せされている印象です。ただ、それでもやはり内国産募集馬と比較すると、2~3割ほど高い水準ではあります。


そして、この募集価格に見合った働きができているか、募集額回収率も見ておきましょう。 …
本レポートは、プレミアム会員登録でご覧いただけます。
全文5209文字 (現在1429文字まで表示)
外国産クラブ馬の成績推移 / 外国産馬=早熟? / 外国産馬の活躍フィールドの変化 / アメリカ産と欧州産

プレミアム会員ご案内
すでにプレミアム会員の方は ログイン してご覧ください
一口データ研究室
【2024年版】2歳新種牡馬:8月時点の通信簿 ダートでつぶしが効く種牡馬、効かない種牡馬 大物が出やすい募集価格に変化の兆し? 牝馬(の方)が得意な厩舎7選 母と同じ厩舎に預託される馬の活躍可能性 「左後一白の馬は走る」は本当? ダート3冠への出走条件から考える「今後のダート馬出資戦略」 未勝利続戦馬の「解放元年」 【2023年度】 年間騎手評価ランキング 春クラシック切符をつかむための「勝ち上がり期限」 [更新]新馬戦勝ち負け基準タイム2023 2023年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 2歳新種牡馬:初年度8月終了時点の通信簿 ブレイク直前!若手調教師名鑑2023 「空胎明けの仔は走る」は本当? 2023年に覚えておきたい「次世代ニックス」10選 「未勝利善戦マン」が出世する可能性は? ブラックタイプで確認すべき「近親活躍馬」の優先順位 「早生まれ」のクラシック活躍可能性【2023年度版】 2023年度のJRA賞金・ルール変更を読み解く 【2022年度】 年間騎手評価ランキング 中央から地方に移籍してどこまで稼げる? [更新]新馬戦勝ち負け基準タイム2022 2022年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.4】 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.3】 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.2】 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.1】 サンデーサイレンスのクロス効果はどこまで本物? クラブ馬の「3勝クラスの壁」について考える 出資馬が「障害入り」したときに知っておくべきポイント 2022年度のJRA賞金・ルール変更を読み解く 【2021年度】 年間騎手評価ランキング 馬名応募のクラブ別傾向と対策 2021 [更新]新馬戦勝ち負け基準タイム2021 2021年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 「初仔」出資時に注意すべきポイントと狙い目 ポスト・ディープインパクト時代の出資戦略 厩舎の「距離適性」はどこまで重要か 「馬が買えない時代」のクラブ掛け持ち戦略【後編】 「馬が買えない時代」のクラブ掛け持ち戦略【前編】 「3アウト」から復活する馬の可能性 去勢は本当に効果があるのか検証する 「3歳3月新馬戦廃止」の影響を考える 【2020年度】 年間騎手評価ランキング 未勝利のまま中央で続戦する馬の可能性 [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 2020年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 輸入繁殖産駒、国別の成績傾向と対策 輸入繁殖産駒の躍進と国別ランキング 募集価格1000万円台馬の活躍可能性を考える 母父サンデーサイレンス系の攻略辞典 母父キングカメハメハVS母父ディープインパクト クラブ馬の「東西格差」はどこまである? ダートの大物を引き当てる難易度と出資時ポイント 「京都競馬場長期休止」で笑う種牡馬、泣く種牡馬 【2019年度】 年間騎手評価ランキング 馬券回収率の高いクラブ、低いクラブは? [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 親の健康から産駒の健康を予測する クラブ馬でクラシックを狙うための傾向と対策 出資馬が毎週出走するには、何頭必要? 短距離系種牡馬はお買い得? 新規開業調教師への出資時ポイント 「超高額馬」のコストパフォーマンス 調教師定年転厩の影響&再生が得意な厩舎 転厩の効果とクラブ別転厩傾向 JRAの賞金手当は今後も増える? 【2018年度】 騎手評価ランキング 好不調の波が大きいクラブ、安定したクラブ [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 クラブ馬の募集価格の推移と傾向 入厩前の手術による影響は? 「お買い得」な種牡馬の世代は? 新種牡馬の検討において注意すべき世代 新種牡馬は2年目産駒が狙い目? 種牡馬の年齢と産駒の成績の関係 未勝利戦デビューする馬の可能性 外国産馬の出資における傾向と対策 外国産馬の歴史と現在 【2017年度】 騎手評価ランキング [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 地方転出→中央復帰馬が活躍する条件 重賞馬の下、全兄弟と半兄弟の違いは? 兄、姉が重賞馬のコストパフォーマンス 管囲が細いと故障も増える? 意外と知らない?「測尺」の基本 募集時の人気と成績の関係 エリート条件馬の選びかた 条件馬のままで、どこまで稼げる? 牡馬vs牝馬 コストパフォーマンス比較 【2016年度】 騎手評価ランキング 【クラブ別】馬名応募の傾向と対策 新馬戦で勝ち負けできる基準調教タイム 母の競走成績と繁殖成績の関係 新馬戦の結果で将来はどこまで決まる? 早期入厩・早期デビューは良いこと? 馬体重と適性、デビュー時期、故障の関係 馬体重(馬格)と成績との関係 インブリード vs アウトブリード 芝馬とダート馬のコストパフォーマンス 父と同じ毛色の仔は走る? 母の年齢考察 ~母高齢や初仔は? 早生まれ、遅生まれは良い?悪い?
(連載中)
著者
一口馬主DB 編集部