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一口データ研究室
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レポートNo.060 |

一口馬主による年間騎手評価ランキング【2020年度】

今回は年末恒例となりました、当サイトユーザーの皆様による、騎手騎乗評価の年間集計ランキングをお届けします。

※このランキングの意義や、評価・集計方法などは「第1回目の2016年度のレポート」をご覧ください。


本年におきましても、当サイトのご利用、またMy出走リザルトに多くの採点投票を頂き、誠にありがとうございました。

厳しい社会情勢の中でも、今年の各クラブ募集馬の売れ行きは、史上空前と言える水準となっています。大レースでのクラブ馬の活躍が今年も目立ったということに加え、ウェブとテレビさえあれば、家にいながらでも楽しむことができる一口馬主という形態が、時勢にマッチした娯楽として再認知されたという面もありそうです。

もちろん、これも入場制限などがありながらも、例年通りに施行された競馬開催があってこそであり、開催継続に尽力された主催者・関係者・そして今回のテーマでもある騎手の皆さま方には、感謝の気持ちで一杯です。


そんな環境の中、この採点に参加いただいた方の数も、おかげさまで今年は例年以上の大きな伸びとなりました。各出資馬の能力や特性、仕上がり具合などをよく把握した上で、レース中はその馬と騎手の一挙手一投足に「全集中」して観戦する出資者のシビアな採点を、万単位で積み重ねる年間統計がこのランキングです。

激動の2020年度を通じて、多くの一口馬主を満足させる活躍を見せてくれたのは、はたしてどの騎手でしょうか。それでは結果を見ていきましょう。

一口馬主 2020年度 平均騎乗評価ランキング

例年同様、「表ランキング」と「裏ランキング」の2部構成でお届けしていきます。

まずは「表」である、全レースの採点平均値によるランキングです。このランキングでは、各騎手が今年どれだけ一口馬主を満足させる騎乗をしてくれたか、端的に分かるはずです。

昨年は3連覇中のルメール騎手の牙城を崩して、川田騎手が初の栄冠となりましたが、今年もやはりこの二人の争いとなったかどうか、まずは注目です。

なお、クラブ馬騎乗レース数、頭数、採点者数などで、ランク対象は30人前後となるよう、毎年一定の相対数値基準を設けさせていただいており、今年は33人の騎手が基準を満たしました。

それでは2020年度のランキングをご覧ください。






2020年度 クラブ馬騎乗評価ランキング
【総合版】

採点
順位
騎手名 所属 採点平均 クラブ馬
勝率
順位前年比
1C.ルメール西3.42.272↑1
2川田将雅西3.38.288↓1
3福永祐一西3.37.219
4武豊西3.28.174-
5松山弘平西3.24.118↓1
6池添謙一西3.23.175
7横山武史3.16.142↑14
8D.レーン3.15.232-
9和田竜二西3.11.066↑5
10田辺裕信3.06.069↑9
11M.デムーロ西3.06.104↑4
12戸崎圭太3.05.127↓7
13松若風馬西3.01.045↓5
14吉田隼人2.96.141↑11
15石橋脩2.90.062↓4
16三浦皇成2.88.133↓9
17岩田望来西2.88.115-
18北村友一西2.88.148↑9
19坂井瑠星西2.87.074↓2
20丹内祐次2.84.042↓10
21藤岡佑介西2.83.122↓8
22北村宏司2.77.068-
23西村淳也西2.74.088↓11
24岩田康誠西2.72.080↓6
25津村明秀2.69.053↑4
26団野大成西2.69.087-
27浜中俊西2.67.064↓18
28荻野極西2.66.072-
29藤岡康太西2.61.041↓3
30丸山元気2.58.088↓14
31石川裕紀人2.54.041↓3
32大野拓弥2.48.027↓10
33斎藤新西2.47.037↓9
採点平均:各レースの騎乗評価を統計処理した数値。同数値は小数3桁以下で決定。



2020年度の表ランキングは、C.ルメール騎手が一昨年以来の栄冠に返り咲きました!


1位 ルメール騎手は、今年は特に大レースでの活躍が記憶に残り、アーモンドアイフィエールマングランアレグリアラッキーライラックで積み上げた、「クラブ馬による年間G1勝利」はなんと7勝。これは同騎手が2018年に記録した6勝を上回り、史上最多となる数値でもあります。

とはいえ、クラブ馬騎乗数がただ一人300を超える中で、こうした大レースの割合はごくわずか。数字を見ていくと、クラブ馬勝利数86は、2位の川田騎手63勝を大幅に上回りトップ、昨年やや下落した平均着順は0.2向上し4.0でこれもトップ、勝率.272は2位なものの、素晴らしい数値です。また、このランキングを開始してから、評価点3.40を毎年上回っている唯一の騎手でもあります。毎年安定して質の高い馬を集め、それに見合った結果を出す。言葉にすれば簡単なようにも見えますが、技量があっても常に大きな故障と背中合わせで、新陳代謝の激しい騎手界において、これを継続するのはやはり並大抵のことではありません。


2位 川田将雅騎手は、惜しくも連覇を逃しましたが、その差は0.04ポイントと、ごくわずかでした。ルメール騎手とは対照的に、例年クラブ馬でのG1勝ちは多くはなく、今年もグレナディアガーズの朝日杯のみに留まりました。一方、クラブ馬勝率.288は、初めてルメール騎手を上回り1位で、これは自己レコードでもあります。ルメール騎手の存在でマヒしがちですが、年間3割に迫るクラブ馬勝率を叩き出す騎手も尋常ではありません。一方で、昨年から評価点は0.13下げており、勝率を上げながら評価点が下落した要因は、裏ランキングで考察していきます。


3位 福永祐一騎手は、今年も不動の安定感を示し、2年連続の3位となりました。ただし、これまでは評価点が3.20~3.24の間に収束していましたが、今年は初めて3.30を超えてきており、もはや2強に取って代わり、いつ首位に躍り出ても不思議ではないポジションにつけています。クラブ馬でのG1勝ちこそありませんでしたが、牡馬クラシック3冠も達成し、安定感を増しつつ、さらに高い支持を得ていることが各種数字からはうかがえます。


4位 武豊騎手は、2017年以来のランクインです。評価点は毎年安定して高いものの、クラブ馬の騎乗数が当ランキング基準に満たない年が続いていましたが、今年はここ10年でも最多のクラブ馬騎乗数となり、レシステンシアの桜花賞などでも、存在感を見せてくれました。もともと2016年、2017年と裏ランキングで首位を獲ったように、負けたレースでも騎乗評価を得やすいタイプであり、今後も騎乗数を確保できるようであれば、当ランキングにおいても台風の目となるかもしれません。


5位 松山弘平騎手は、昨年の表ランキングで4位、裏ランキングで2位と大躍進し、これを保てるか注目していましたが、昨年がフロックではないことを証明してくれました。デアリングタクトで牝馬3冠を達成したことで、名実ともにトップジョッキーの仲間入りをしたといって良いのではないでしょうか。クラブ馬勝率は1割そこそこと、上位陣の中では低い水準ながらもこの順位ですから、馬質や勝利に依存しない評価を、その騎乗ぶりで勝ち取っている騎手と言えます。まだ30歳と、今の騎手界ではまだまだ若手と言える年齢であり、今後も楽しみです。


6位 池添謙一騎手は、昨年と同順位でフィニッシュ。3年連続となるクラブ馬G1勝利もグランアレグリアで果たしており、大レースに強い希少な日本人騎手としての地位を確立し、このランキングでも上位常連となってきました。これまでの評価点の傾向からは、意外性のある勝利で評価を高めている印象でしたが、今年は勝率も上げてきており、アベレージ面でも評価も得つつあることがうかがえます。


7位 横山武史騎手は、昨年21位から大きくジャンプアップして、初のトップ10入りです。春先は戸崎騎手、三浦騎手の離脱、秋は外国人騎手の来日停止などもありましたが、そういったチャンスを見事ものにして、若干22歳にして関東リーディングを獲得しました。クラブ馬騎乗数は、ルメール騎手に次いでなんと2位。これだけでも関係者の評価の高さがうかがえますが、初重賞制覇もクラブ馬(ウインマリリン)で成し遂げました。平均人気は5.0と、上位陣の中では決して高くはない水準ですから、勝率.142も十分な数字と言えるでしょう。今後もこのポジションを保てるのか、あるいはさらに伸びてトップ戦線に食い込んでくるのか、大注目です。


8位 D.レーン騎手は、騎乗数で基準を設けているこのランキングでは珍しく、短期免許でのランクインとなりました。大きなレースでの勝利こそないものの、クラブ馬ではサリオスとコンビを組んでの春クラシック戦線などで、存在感を見せてくれました。今年は社会情勢により、外国人騎手の参戦が少なく、また秋競馬以降はゼロになったことが、騎手界におけるトピックの一つでもありました。来年もしばらくはこの状況が続く可能性がありますので、海外のトップジョッキーが見られないことは残念ではありますが、横山武史騎手のように、若手騎手が大きく成長するチャンスとも言えるでしょう。


9位 和田竜二騎手は、クラブ馬騎乗数はさほど多くはないものの、基準数を満たした年は安定して上位に顔を覗かせる存在となっています。クラブ馬勝率は1割を切っているものの、平均人気と平均着順の差が小さいタイプで、つまりは負けたレースでも、馬の実力をしっかりと引き出すという評価を築いています。このタイプの騎手は裏ランキングでも強さを発揮するため、後ほど詳しく見てみましょう。


10位 田辺裕信騎手は、昨年から大きく順位を上げましたが、もともとこのランキングではトップ10の常連騎手であり、昨年が例外的に不調だったと言えるでしょう。和田騎手同様、クラブ馬勝率は1割を切っていますので、こちらも負けたレースでの評価が高いタイプと言えそうです。


トップ10圏外では、昨年トップ10内から順位を下げた、12位 戸崎圭太騎手、16位 三浦皇成騎手は、ともに怪我による長期離脱が騎乗面、馬質面に少なからず影響したといえ、来年の巻き返しに期待したいところです。

若手騎手の中では、横山武史騎手の躍進がなんと言っても特筆に値しますが、デビュー2年目の岩田望来騎手も17位に初ランクイン。減量が取れてこれからが本当の勝負となるでしょうが、2年目でクラブ馬勝率1割超えはなかなか出せる数字ではありません。


[優勝レース除外版]
一口馬主 2020年度 平均騎乗評価ランキング

続いては例年通り、優勝レースのみを除外した「裏ランキング」もご紹介したいと思います。この裏ランキングの意義としては、馬質の影響をできるだけ排除した騎乗評価を得ることで、騎手の真の実力・好不調を探るという点にあります。

3年前には、当時絶頂期に見えたM.デムーロ騎手がこの裏ランキングでは大きく順位を落とし、2年前は翌年大ブレイクする川田騎手が初の首位、そして昨年は松山騎手が僅差の2位に躍進。こうして見ると、来年の活躍変動を予想する上では、この裏ランキングの方が適していると言えるかもしれません。

これは単なる偶然ではなく、どんな騎手でも過半を占める負けたレースでの騎乗ぶり、いわば「負けっぷり」は、この採点をいただいている一口出資者の皆さまの他にも、オーナー、調教師などの騎手決定権を握る関係当事者が、誰よりも強く脳裏に焼き付けているはずであり、その評価は将来の馬質に反映されていくことになります。



それでは、優勝レースを除いた採点評価ランキングを見ていきましょう。 …
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一口馬主による2020年度 平均騎乗評価ランキング発表

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著者
一口馬主DB 編集部