レポートNo.028 |
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種牡馬の年齢と産駒の成績の関係
2018年のクラシック初戦は、牡馬牝馬ともに、ロードカナロアとオルフェーヴルという、昨年デビューの新種牡馬産駒が勝利し、少し顔ぶれが固定化しつつあった種牡馬界においても、新時代を感じさせる結果となりました。
思えば、かつての3大種牡馬であったサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンも、初年度産駒から春のクラシック4冠のうち3冠を制して、圧巻の種牡馬デビューを飾りました。ディープインパクトも初年度から桜花賞、キングカメハメハのみは、これら大種牡馬の中では例外的に初年度は大物不在だったものの、2世代目にはオークス馬を輩出しました。血統史に残るような大種牡馬は、やはり早い段階からクラシックでインパクトのある結果を残しています。
一口馬主の出資検討においては、現在の名種牡馬、新たな活躍種牡馬、そして今後の新種牡馬まで考えると、楽しみとともに、今後数年間は目移して頭を悩まされる時代に入ったと言えるかもしれません。
今回は、そんな世代が入り混じる現在の種牡馬界を考える一つの指針として、種牡馬の年齢と産駒成績の関係について、大局的に分析していきます。以前、第2回で母の年齢が競走成績に与える影響を考察しましたが、母同様に、父の年齢も産駒に影響を与えているのかどうかをデータで考えます。
なお、本レポートでは便宜上「馬齢」を「年齢」として表現させて頂きます。
思えば、かつての3大種牡馬であったサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンも、初年度産駒から春のクラシック4冠のうち3冠を制して、圧巻の種牡馬デビューを飾りました。ディープインパクトも初年度から桜花賞、キングカメハメハのみは、これら大種牡馬の中では例外的に初年度は大物不在だったものの、2世代目にはオークス馬を輩出しました。血統史に残るような大種牡馬は、やはり早い段階からクラシックでインパクトのある結果を残しています。
一口馬主の出資検討においては、現在の名種牡馬、新たな活躍種牡馬、そして今後の新種牡馬まで考えると、楽しみとともに、今後数年間は目移して頭を悩まされる時代に入ったと言えるかもしれません。
今回は、そんな世代が入り混じる現在の種牡馬界を考える一つの指針として、種牡馬の年齢と産駒成績の関係について、大局的に分析していきます。以前、第2回で母の年齢が競走成績に与える影響を考察しましたが、母同様に、父の年齢も産駒に影響を与えているのかどうかをデータで考えます。
なお、本レポートでは便宜上「馬齢」を「年齢」として表現させて頂きます。
現在の種牡馬界は高齢化進行中?
さて、ロードカナロアとオルフェーヴルの活躍が、新風として競馬界に受け止められたのは、裏を返せば、長らく新世代のスター種牡馬候補が不足していた現状があります。以下は、2017年度のリーディングサイヤーとその年齢です。
見ての通り、ハービンジャーを除くすべての馬が16歳以上、もしくは高齢による引退もしくは死亡済の種牡馬です。特に17歳は4頭もランクインしており、2001年産は種牡馬の大豊作世代であったことにあらためて驚かされます。
種牡馬の総合リーディングで上位に食い込むには、世代が少しでも多い方が当然ながら有利なため、若い種牡馬が上位に来ることはなかなか難しいという面もありますが、ディープインパクトやキングカメハメハが、ともに10歳で早々とトップの座に着いていることを考えると、ここ数年、なかなか世代交代が進んでいなかったことがうかがえます。また、サンデーサイレンスの直仔がまだ10頭中7頭もいることを考えると、サンデーサイレンスが種牡馬の父としても偉大すぎた、という見方もできるのかもしれません。
もちろん、16歳、17歳といった年齢は、健康に問題さえ無ければ、種牡馬としてはまだまだ活躍できますので、これら現役の一流サイヤーたちは、これからも多くの名馬を生み出してくれることでしょう。
一方で、これがもし「繁殖牝馬」の年齢として考えるとどうでしょうか。そろそろ高齢の域に掛かっているという見方もできるのではないでしょうか。現在のスター種牡馬たちが揃って高齢に近づく現状においては、種牡馬の年齢が産駒の成績に影響を及ぼすのかどうか、少し気になるところです。
2017年度 種牡馬リーディングTOP10
順 | 馬名 | 年齢 |
1 | ディープインパクト | 16 |
2 | キングカメハメハ | 17 |
3 | ステイゴールド | ー |
4 | ハーツクライ | 17 |
5 | ダイワメジャー | 17 |
6 | ハービンジャー | 12 |
7 | クロフネ | 20 |
8 | マンハッタンカフェ | ー |
9 | ゴールドアリュール | ー |
10 | ブラックタイド | 17 |
※年齢は2018年現在 [-]は種牡馬引退済
見ての通り、ハービンジャーを除くすべての馬が16歳以上、もしくは高齢による引退もしくは死亡済の種牡馬です。特に17歳は4頭もランクインしており、2001年産は種牡馬の大豊作世代であったことにあらためて驚かされます。
種牡馬の総合リーディングで上位に食い込むには、世代が少しでも多い方が当然ながら有利なため、若い種牡馬が上位に来ることはなかなか難しいという面もありますが、ディープインパクトやキングカメハメハが、ともに10歳で早々とトップの座に着いていることを考えると、ここ数年、なかなか世代交代が進んでいなかったことがうかがえます。また、サンデーサイレンスの直仔がまだ10頭中7頭もいることを考えると、サンデーサイレンスが種牡馬の父としても偉大すぎた、という見方もできるのかもしれません。
もちろん、16歳、17歳といった年齢は、健康に問題さえ無ければ、種牡馬としてはまだまだ活躍できますので、これら現役の一流サイヤーたちは、これからも多くの名馬を生み出してくれることでしょう。
一方で、これがもし「繁殖牝馬」の年齢として考えるとどうでしょうか。そろそろ高齢の域に掛かっているという見方もできるのではないでしょうか。現在のスター種牡馬たちが揃って高齢に近づく現状においては、種牡馬の年齢が産駒の成績に影響を及ぼすのかどうか、少し気になるところです。
年齢別産駒数
それでは、全体的なデータを俯瞰していきましょう。
まずは、ボリュームを見ていきましょう。以下は、2000年産以降の中央競馬出走馬における、種牡馬の年齢別の産駒数をグラフにしたものです。一部外国種牡馬は除きます。
なお、第2回で母年齢を分析した際は「出生時の母年齢」としましたが、今回は種牡馬の年齢がテーマということから、「種付け時の父年齢」、つまり出生1年前の種牡馬年齢となります。
日本では欧米とは違い、種牡馬になるような馬でも、比較的長く現役を続けるケースが多いため、ボリュームが増え始めるのはやはり6歳頃からとなり、9歳がピークとなっています。以降は10歳、12歳、14歳でそれぞれ大きく数を減らしつつ、14歳以降はなだらかに減っていく形となります。
現役時同様、種牡馬の世界も超競争社会です。6歳から種付けを開始した場合、クラシックの結果が明らかになる3年後、グラフでもちょうど10歳から淘汰がはじまっていることがうかがえます。第2回で見た母年齢別のグラフと比較すると、牡馬の方が現役を長く続ける分、ピークが少し後ろに来ていますが、その後の減少の度合いは繁殖牝馬よりも種牡馬の方がやや急ピッチであり、それだけ競争環境が激しいことがうかがえます。
これを見ると、先ほどのサイヤーランキングのように、16歳17歳まで種牡馬を続けられるのは、ごく一部のエリート種牡馬だけということもうかがえます。
まずは、ボリュームを見ていきましょう。以下は、2000年産以降の中央競馬出走馬における、種牡馬の年齢別の産駒数をグラフにしたものです。一部外国種牡馬は除きます。
なお、第2回で母年齢を分析した際は「出生時の母年齢」としましたが、今回は種牡馬の年齢がテーマということから、「種付け時の父年齢」、つまり出生1年前の種牡馬年齢となります。
日本では欧米とは違い、種牡馬になるような馬でも、比較的長く現役を続けるケースが多いため、ボリュームが増え始めるのはやはり6歳頃からとなり、9歳がピークとなっています。以降は10歳、12歳、14歳でそれぞれ大きく数を減らしつつ、14歳以降はなだらかに減っていく形となります。
現役時同様、種牡馬の世界も超競争社会です。6歳から種付けを開始した場合、クラシックの結果が明らかになる3年後、グラフでもちょうど10歳から淘汰がはじまっていることがうかがえます。第2回で見た母年齢別のグラフと比較すると、牡馬の方が現役を長く続ける分、ピークが少し後ろに来ていますが、その後の減少の度合いは繁殖牝馬よりも種牡馬の方がやや急ピッチであり、それだけ競争環境が激しいことがうかがえます。
これを見ると、先ほどのサイヤーランキングのように、16歳17歳まで種牡馬を続けられるのは、ごく一部のエリート種牡馬だけということもうかがえます。
種牡馬の年齢別産駒成績
それでは、いよいよ具体的な成績数値を見ていきましょう。 …
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現在の種牡馬界は高齢化進行中? / 年齢別産駒数 / 種牡馬の年齢別産駒成績 / 若年時のブースト
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