レポートNo.022 |
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地方転出→中央復帰馬が活躍する条件
今回は、地方からの中央復帰について考察してみたいと思います。
一口馬主になると痛感しますが、中央競馬で勝ち上がるのは決して簡単なことではなく、実際に7割近くの中央デビュー馬、一口クラブ馬に限っても6割前後の馬が、未勝利のまま短い競走生活を終えて引退していく、厳しい勝負の世界です。
一方で、これも一口馬主であればご存知の通り、そうした未勝利で終わった馬たちにも、地方競馬に転籍して一定要件を満たすことで、中央競馬復帰の道が開かれています。
復帰のための要件は、昔より厳しくなっている傾向にはありますが、このルールに救われた馬の中から、オープン、重賞クラスまで出世する馬も多数出ており、以下はそうした「出戻り馬」の2000年産以降の獲得賞金ランキングです。
サマーウインド、ミリオンディスク、ゴルトブリッツ、アーバニティ、フェデラリストなどクラブ馬も多く見られ、出資者の方は、通常の活躍馬よりも波乱に満ちたドラマを味わったことでしょう。
今回のレポートでは、こうした中央復帰馬について全体像を俯瞰しながら、復帰後に大活躍する馬の傾向なども分析していきたいと思います。
一口馬主になると痛感しますが、中央競馬で勝ち上がるのは決して簡単なことではなく、実際に7割近くの中央デビュー馬、一口クラブ馬に限っても6割前後の馬が、未勝利のまま短い競走生活を終えて引退していく、厳しい勝負の世界です。
一方で、これも一口馬主であればご存知の通り、そうした未勝利で終わった馬たちにも、地方競馬に転籍して一定要件を満たすことで、中央競馬復帰の道が開かれています。
復帰のための要件は、昔より厳しくなっている傾向にはありますが、このルールに救われた馬の中から、オープン、重賞クラスまで出世する馬も多数出ており、以下はそうした「出戻り馬」の2000年産以降の獲得賞金ランキングです。
1 | マジンプロスパー | 2億3,612万 |
2 | サマーウインド | 2億3,382万 |
3 | ミリオンディスク | 2億2,806万 |
4 | ゴルトブリッツ | 2億2,215万 |
5 | アグネスラズベリ | 2億1,113万 |
5 | シーキングザベスト | 2億0,590万 |
7 | タッチミーノット | 1億9,691万 |
8 | アーバニティ | 1億8,185万 |
9 | ダンスアジョイ | 1億7,358万 |
10 | フェデラリスト | 1億7,035万 |
サマーウインド、ミリオンディスク、ゴルトブリッツ、アーバニティ、フェデラリストなどクラブ馬も多く見られ、出資者の方は、通常の活躍馬よりも波乱に満ちたドラマを味わったことでしょう。
今回のレポートでは、こうした中央復帰馬について全体像を俯瞰しながら、復帰後に大活躍する馬の傾向なども分析していきたいと思います。
中央復帰の傾向
まず、中央復帰の要件が昔より厳しくなっている、と書きましたが、具体的なルールの変遷を要約すると以下の通りです。
2004年までは、「とにかく地方で5回走れば戻ってこれる」という、今から考えると牧歌的ともいえる、ユルいルールでした。その後、勝利条件が必須になり、徐々にそのハードルが上がっていった形で、現在では「3歳までに2勝以上」もしくは「3勝以上」が復帰の条件となっています。
実際に中央復帰した馬の頭数の変遷は以下のようになっています。
ルールは抹消年度ベースで、上記は産年度ベースなので少し分かりずらいのですが、2004年産~2009年産あたりがピークといえそうなグラフとなりました。2013年からのルール改定の影響を受けはじめたのが、2010年産からとなるのですが、ここからやや落ち始めています。とは言え、ピークから10~20%程度の減少で、急減したとまでは言えず、制度は今も機能していると言えます。なお、グラフ最後の2013年産は、現4歳ですので、まだこれから増えていくと思われます。
~2004年 | 5回以上出走 or 1勝以上 |
2005~2008年 | 5回以上出走&1勝以上 もしくは 2勝以上 |
2009~2012 | 2勝以上 |
2013年~ | 3歳までに2勝以上 もしくは 4歳以上3勝以上 |
2004年までは、「とにかく地方で5回走れば戻ってこれる」という、今から考えると牧歌的ともいえる、ユルいルールでした。その後、勝利条件が必須になり、徐々にそのハードルが上がっていった形で、現在では「3歳までに2勝以上」もしくは「3勝以上」が復帰の条件となっています。
実際に中央復帰した馬の頭数の変遷は以下のようになっています。
ルールは抹消年度ベースで、上記は産年度ベースなので少し分かりずらいのですが、2004年産~2009年産あたりがピークといえそうなグラフとなりました。2013年からのルール改定の影響を受けはじめたのが、2010年産からとなるのですが、ここからやや落ち始めています。とは言え、ピークから10~20%程度の減少で、急減したとまでは言えず、制度は今も機能していると言えます。なお、グラフ最後の2013年産は、現4歳ですので、まだこれから増えていくと思われます。
出戻り馬の成績
続いては、そうして中央復帰した馬が、どれだけ活躍しているのかを見ていきましょう。
残念ながら出資馬が未勝利戦を勝ち上がれず、地方転籍しての中央復帰を目指すことになった場合、「ちゃんと中央に戻れるのか」と同時に、「無事戻ってこれたとして、本当に中央で通用するのかどうか」といったことも懸念される場合もあるかと思います。なにしろ、多かれ少なかれ不運もあったでしょうが、3歳秋までには未勝利戦を勝ち上がれなかった馬です。
中央復帰後に期待する水準としては、冒頭に掲げたようなオープンで大活躍することがもちろん大目標となるでしょうが、少なくとも500万下で上位争いをして、最終的には1000万下には上がるというのが、期待する最低ラインかと思われます。
では、実際に中央復帰した馬は、その後どの程度活躍しているのでしょうか。ここでは分かりやすいデータとして、出戻り馬が復帰後に500万下を勝ち上がる確率を、一般的な500万下出走馬と比較してみました。集計対象は2000年産以降、現6歳の2011年産までのデータで、以降のデータも同様です。
中央復帰馬が500万下を勝ち上がる確率は約18%。一般的な500万下出走馬は36%ですから、ちょうど半分の確率です。未勝利戦を勝ち上がれなかった馬たちが、2割近くも1000万下まで到達していると考えると、十分健闘しているという見方もできるかとは思いますが、単純な確率論では、一般的な馬たちにやや見劣りすることは否めません。
残念ながら出資馬が未勝利戦を勝ち上がれず、地方転籍しての中央復帰を目指すことになった場合、「ちゃんと中央に戻れるのか」と同時に、「無事戻ってこれたとして、本当に中央で通用するのかどうか」といったことも懸念される場合もあるかと思います。なにしろ、多かれ少なかれ不運もあったでしょうが、3歳秋までには未勝利戦を勝ち上がれなかった馬です。
中央復帰後に期待する水準としては、冒頭に掲げたようなオープンで大活躍することがもちろん大目標となるでしょうが、少なくとも500万下で上位争いをして、最終的には1000万下には上がるというのが、期待する最低ラインかと思われます。
では、実際に中央復帰した馬は、その後どの程度活躍しているのでしょうか。ここでは分かりやすいデータとして、出戻り馬が復帰後に500万下を勝ち上がる確率を、一般的な500万下出走馬と比較してみました。集計対象は2000年産以降、現6歳の2011年産までのデータで、以降のデータも同様です。
中央復帰馬が500万下を勝ち上がる確率は約18%。一般的な500万下出走馬は36%ですから、ちょうど半分の確率です。未勝利戦を勝ち上がれなかった馬たちが、2割近くも1000万下まで到達していると考えると、十分健闘しているという見方もできるかとは思いますが、単純な確率論では、一般的な馬たちにやや見劣りすることは否めません。
どのような馬が中央復帰後に活躍するのか
さて、全体的にはやや苦戦傾向が見られるものの、冒頭に掲げたような大活躍馬が一定割合出ていることも事実です。
それでは、中央復帰馬の中でも、どういった馬が活躍しやすいのかを見ていきたいと思います。 …
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中央復帰の傾向 / 出戻り馬の成績 / どのような馬が中央復帰後に活躍するのか / 芝馬か、ダート馬か / どこを再起の場に選ぶか
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