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一口データ研究室
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レポートNo.091 |

これからのブレイクが期待される若手調教師名鑑2023

早くから活躍する調教師が増加中
本年の調教師リーディングにおいて、ちょっとした「異変」が起こっています。40代若手調教師の躍進です。

2023年 中央競馬 調教師全国リーディング

調教師勝利数年齢
1杉山晴紀34勝41歳
2中内田充正31勝44歳
3矢作芳人29勝62歳
4斎藤誠26勝52歳
5上村洋行24勝49歳
5清水久詞24勝51歳
7橋口慎介23勝48歳
8国枝栄22勝68歳
9堀宣行22勝55歳
10寺島良22勝42歳
2023年7月末時点


トップを争う杉山晴紀師、中内田充正師をはじめ、開業10年に満たない40代の若手調教師がトップ10のうち5人と半数を占めています。

あくまで7月時点の成績であり、まだ最終的にどうなるかは分かりませんが、勢いを感じさせる情勢です。

こうした予兆は、実は昨年からありました。


2023年は7月末時点


調教師リーディングTOP10を年代別構成で見ると、それまで安定していた60代のゾーンが2022年を機に減っていることが確認できます。調教師には定年があり、減少した枠は新規開業で補うため、常に新陳代謝が促される構造にはなっていますが、経験や人脈が大きくものを言う調教師界において、下からの突き上げが大きくなることは珍しいと言えます。

これは昨今、新興馬主がセリ市で躍動していることも背景にありそうです。若いオーナーがこれから中央競馬で長く馬主ライフを続けようと思えば、最初から自分と同年代、あるいはさらに下の世代の調教師との人脈を築いた方が後々無駄になりません。あるいはもっと単純に、同年代の方が話がしやすく気心も合いやすいということもあるでしょう。

若手調教師にとっては、以前よりも馬の質・量を早くから高めやすい時代になっていると言えます。その分経験値も早く溜まるため、厩舎の実力を付けやすいとも言えます。私たち一口馬主としても、こうした時代の変化は意識しておきたいところです。

早くからブレイクする調教師の特徴

とはいえ、いざ本当に若手厩舎、特に開業間もない厩舎の馬に出資するとなると、まだ判断材料も少ないため相応の勇気が必要となるはずです。いくら活躍する若手調教師が増えているとはいえ、厳しい競争社会ゆえ、最終的にトップクラスまで昇り詰める厩舎は限られます。

そこで今回は、早期のブレイクが見込まれる調教師を独自の基準で選んで紹介したいと思います。

具体的には「今後数年でトップクラスに急成長する可能性を秘めた厩舎」とし、開業5年目以内の調教師の中から、データで厳選した6厩舎を取り上げます。

「開業5年目以内」としたのは、もちろん若手調教師をターゲットにするためではありますが、データで見ていくと早期にブレイクするにあたって、1つの分かりやすい目安があることも理由です。


2023年7月下旬時点/開業前調教師は除く


たとえば上記は、最近若くしてブレイクした調教師の代表格と言える、杉山晴紀師、中内田充正師、斉藤崇史師の開業からの勝利数推移です。

こうした早期に「ブランド化」した調教師であっても、開業1~3年目でリーディング上位に来るような顕著な勝利数を挙げることはありません。まず馬房数の制限がありますし、実績をあげて入厩馬の質量を上げるサイクルを回していくには、やはり相応の月日がかかるものです。

その中でこの3人に共通しているのは、歩みはそれぞれ異なりますが、おおむね右肩上がりに勝ち星を伸ばして、開業5年目までに「年間30勝」をクリアしていることです。またこれはこの3人だけではなく、たとえば矢作芳人師や須貝尚介師、池江泰寿師など、2000年以降に開業して早期ブレイクした調教師に多く当てはまります。

年間30勝はリーディング順位で言うと30位前後であり、一般的にはそれほど目立つ成績とは言えませんが、若手調教師の将来性を占う上で有効な指標となりえることが分かります。


今回はこうした指標を独自にいくつか設定した上で、一定数をクリアした調教師を厳選して紹介していきます。それでは、見ていきましょう。


※以下、各データは2023年7月下旬現在
49歳・5年目
1)本格芝馬の育成に期待
関西 上村洋行厩舎
1人目は、7月時点で本年リーディング5位と大躍進中の上村洋行調教師です。以前からの競馬ファンにとっては騎手時代のイメージがまだ強いかもしれませんが、騎手引退後、調教助手を経て2019年に開業しました。

開業後は初年度に2桁勝利を達成、以降も毎年着実にリーディング順位を上げ、4年目の昨年には30勝をクリアしています。そして5年目の今年はべラジオオペラでスプリングSを制して厩舎の初重賞勝利を飾り、本番のダービーでも4着と好走しました。まさに順風満帆のキャリアを築きつつあると言えるでしょう。

同馬や阪神大賞典2着アイアンバローズなどに象徴されるように、開業間もない厩舎では珍しく「芝の中長距離馬」の育成を得意としている点が特徴であり、芝レースにおける勝率は年々上昇の一途を辿っています。

社台グループを中心にクラブ馬の預託数も徐々に増え始めているため、今後も王道路線での活躍馬輩出を期待したい厩舎と言えます。 …
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早くからブレイクする調教師の特徴 / 今後数年でトップクラスに急成長する可能性を秘めた厩舎名鑑

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著者
一口馬主DB 編集部