2023-10-01現在データ
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一口データ研究室
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-連載中-
レポートNo.027 |

未勝利戦デビューする馬の可能性

例年、3月も終わりに入ると3歳新馬戦も終了となり、この段階で未出走の馬は必然的に「新馬戦」ではなく、「未勝利戦」でデビューすることになります。

一口馬主が出資する際には、当然ながらまずは新馬戦でのデビューを前提にあれこれ思いをめぐらせるはずで、特にクラシック路線を目指すような良血馬であれば、既に皐月賞・桜花賞のトライアルも終わった時期からのデビューには、期待感とともに残念な気持ちも入り混じることかと思います。賞金や手当も新馬戦に比べると未勝利戦の方が若干少なくなるという、経済面での現実もあります。


今回は、そんな未勝利デビュー馬をデータで分析して、そもそもどのくらいの割合の馬が未勝利デビューするのか、また遅いデビューというハンデを背負いながら、どこまで活躍できるものなのか、将来の可能性を検証していきたいと思います。

第8回の「デビュー時期と競走成績の関係」では、新馬デビュー時期について分析しましたが、今回はさらに遅れてデビューする馬に対する考察となります。

未勝利デビュー馬 歴代ランキング

各種データを見る前に、まずは成功事例を見て勇気をもらいましょう。以下は、未勝利戦でデビューした馬の、獲得賞金による歴代ランキングです。今回は2001年産以降の全中央競馬出走馬を対象にしており、以降のデータも同様となります。

未勝利戦デビュー馬 獲得賞金TOP20

馬名獲得賞金デビュー月
(3歳)
1オウケンブルースリ5億0,386万4
2スマートレイアー4億7,984万4
3ジャガーメイル4億6,055万9
4エイシンデピュティ4億4,105万4
5ダークシャドウ3億7,527万4
6フィエロ3億1,453万7
7ビッグアーサー2億9,981万4
8ミヤビランベリ2億9,790万5
9ダンスディレクター2億8,387万6
10ナムラタイタン2億5,551万5
11グランドシチー2億5,285万4
12アクシオン2億5,108万3
13サンライズベガ2億4,585万4
14ナムラビクター2億4,281万4
15サンアディユ2億4,212万4
16マジンプロスパー2億3,837万7
17ハットトリック2億3,159万5
18オセアニアボス2億2,840万6
19イタリアンレッド2億2,619万6
20ヤマニンメルベイユ2億2,409万5


オウケンブルースリを筆頭に、サンビスタ、ビッグアーサー、トーホウジャッカル、ハットトリックなどG1馬が何頭も混じる、なかなかの面子です。デビュー月の項目を見ても、4月5月どころか夏デビューの馬もちらほらとおり、3位のジャガーメイルにいたっては3歳9月と秋競馬でのデビューです。いずれも遅いデビューを跳ね除けて、一流馬へと大成する可能性を示してくれています

あえて言えば、いずれも2億円以上獲得したエリート集団のはずですが、やや個性的な馬が多いように見えるのは、やはり未勝利デビューということで、華やかな春のクラシックとは縁が無く、多くの馬がローカルの条件戦にも出走し、一つ一つ勝ち上がってオープンまでのし上がる、典型的な叩き上げ型の戦歴になることも影響しているかと思われます。

未勝利戦デビュー馬の割合

それでは、全体的なデータを俯瞰していきましょう。

出資馬が新馬戦でデビューできないことが明らかになると、あたかも大学受験における浪人生のような、同世代の流れから一時的に取り残されたような気分にもなりますが、毎年どのくらいの馬が未勝利デビューしているのでしょうか。

以下は、2001年産以降の全中央出走馬における、新馬戦デビュー馬と未勝利戦デビュー馬の割合です。


やはり、新馬戦でデビューする馬が8割を超えて圧倒的に多い形となりますが、未勝利戦でのデビュー馬も18%と、それなりの割合で存在します。およそ6頭に1頭は未勝利戦でデビューしている計算になりますので、極端に少ないという割合でもありません。

先ほど大学受験に例えましたが、この数値は最近の受験者に占める浪人生の割合とちょうど同じぐらいの水準です(2018年センター試験出願数より / 浪人比率は約17.8%)。

なお、新馬戦がまだある時期に、出走枠の関係などから、あえて未勝利戦でデビューする馬も稀にいますが、割合的には極めてレアなケースのため、基本的には新馬戦終了後にデビューした馬のデータとなります。

未勝利戦デビュー馬の勝ち上がり

続いては、未勝利デビュー馬の成績です。 …
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全文5716文字 (現在1831文字まで表示)
未勝利戦デビュー馬の割合 / 未勝利戦デビュー馬の勝ち上がり / デビュー時期による勝ち上がり可能性 / 未勝利デビューで大成するためのデビュー時期 / 「未勝利デビュー大成馬」のデビュー戦着順 / 芝馬・ダート馬

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著者
一口馬主DB 編集部