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2019-07-19現在データ
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レポートNo.038 |

転厩の効果とクラブ別転厩傾向

今回は、転厩がもたらす効果について考察してみたいと思います。

一口馬主を続けていると、出資馬の転厩を経験することがあります。転厩先の厩舎については、出資者に選択権はないということで、愛馬の行く末をただただ見守るしかなく、一口ライフの中でも、なかなか心理的に大きなイベントの一つと言えるでしょう。関西から関東へなど、トレセンをまたいだ転厩になれば、応援観戦の機会にも影響があります。

馬にとってみれば、住環境と管理者が一変するわけで、人間で例えると引っ越しに伴う子どもの転校のように、期待とともに不安を感じられる方もいるでしょう。

本レポートでは、そんな転厩にまつわるさまざまなデータを見ていきながら、「転厩はどのぐらい成功するものなのか?」を明らかにしていきたいと思います。

転厩市場の全体像

そもそも、中央競馬では実際にどれくらいの馬が転厩を経験しているのでしょうか。下のグラフは、2000年産から2014年産世代における全中央出走馬のうち、転厩馬頭数と、世代ごとの全体頭数における割合を転厩率として表したものです。

なお、特殊な事由による一時的な転厩(最近では角居厩舎⇔中竹厩舎)は、本レポートでは対象から除きました。また、地方からの出戻り馬により厩舎が変更となったケースも含みません。以下、本レポートでのサンプルは同様の条件となります。


転厩率は2002年産世代あたりから上昇して、毎世代、おおむね10%前後の範囲で推移しており、およそ10頭に1頭は転厩を経験している計算となります。全体から見ると、意外と多くの馬が、環境を変えての再出発を図っていることが分かります。なお、直近の現4~5歳世代が減っているように見えますが、経年により増加していくタイプの指標のため、これからまだ上がっていくことが予想されます。

転厩馬 活躍ランキング

決して少なくはない馬が転厩を経験していることが分かりましたが、やはり一口馬主にとっては、実際に転厩が成功した事例が気になるところです。

全体的な分析は後ほど行っていきますが、まずは、代表的な転厩成功馬を見ておきましょう。以下は、2000年産~2014年産世代における転厩馬における、「転厩後」の獲得賞金ランキングTOP10です。

転厩馬 転厩後の獲得賞金ランキング
順位馬名転厩前獲得賞金転厩後獲得賞金
1スイープトウショウ647868820
2リンカーン44060622
3オジュウチョウサン2057254
4メイショウサムソン5221656129
5モーリス387850311
6スクリーンヒーロー631844022
7ダノンバラード435629631
8マジェスティバイオ126729032
9ワンダースピード330028014
10トウカイトリック3263727086
賞金単位は万円

G1級の名馬がずらりと並ぶランキングとなりました。このクラスの馬ともなると、成績が思わしくないことによる転厩よりは、調教師の引退に伴う転厩が多いのですが、モーリスなどは前者のタイプに近いと言え、最近の転厩成功事例として、競馬ファンにの記憶にも新しいかもしれません。他にもリンカーンやオジュウチョウサンなどは、調教師の引退を伴わない転厩です。

なぜ転厩するのか?

このように、一口に転厩といっても、転厩理由についてはいくつかのパターンがあります。転厩データを分析するにあたっても重要なポイントとなるため、ここでは、大きく3つに分類してみていきます。


1)厩舎解散タイプ
まずは、調教師の定年や勇退に伴う、厩舎解散引継ぎ型の転厩です。例えば、先ほどのランキング1位のスイープトウショウは、名門渡辺栄厩舎からデビューしましたが、3歳春での同師の定年引退に伴い、こちらも名門の鶴留明雄厩舎へと転厩しました。男勝りの気性で有名な名馬でしたが、転厩理由としては自然発生的であり、おだやかなタイプと言えます。

特に定年が厩舎解散の理由の場合は、一口馬主においても、出資時から転厩はあらかじめ想定済みのはずで、よほど意外な厩舎への転厩とでもならない限りは、サプライズを覚えることも少ないと思われます。


2)成績頭打ちタイプ
続いては、残念ながら、今のクラスでの成績が頭打ちになっていたり、未勝利馬であれば勝ち上がりが見込めない場合の転厩です。いわば、「このまま同じ環境で現役を続けても、思うような稼ぎが見込めない」と、オーナーあるいは厩舎サイドのいずれか、あるいは両者が判断したときに、引退か転厩かという選択肢が必然的に浮かび上がりますが、ここで転厩を選択したケースです。

プロスポーツ界でも、チームを変えることでかつての輝きを取り戻す選手がいますが、馬の世界でも同様に、環境変化による一変や復活をうながす、カンフル剤的な効果を狙うことが目的と言えるでしょう。

一口馬主の視点に立つと、クラブ馬がこの理由で転厩となる場合は、「心機一転頑張ってほしい」という思いとともに、「もう引退でもいいんじゃないか」と、相反する気持ちが交錯することが多いかもしれません。


3)その他
上記2つが主な転厩理由になるはずですが、データを見ても、中にはどうしても上記に当てはまらないケースもあります。人間がおりなすドラマでもある競馬界では、さまざまな政治的要因がからみ合いますので、外野からはうかがい知れないことも起こりえます、とでもしておきましょうか。



それでは、この3つのタイプが、実際にはどのくらいの割合で転厩理由となっているか、先ほどの条件におけるサンプル約6000頭を分類してみましたので見ておきましょう。

なお、「成績頭打ちタイプ」は、「厩舎解散タイプ」以外でかつ「転厩前の直近半年間の平均着順が5着を下回る」もしくは「未勝利馬」の転厩と定義しました。また、「その他」は、いずれにも当てはまらないケースとしました。

成績頭打ちタイプの転厩が過半数を占め、最も多い形になりました。厩舎解散タイプが約3割でそれに続きます。やはりこの2つが転厩の主な動機であり、いずれにも当てはまらないその他のタイプは、1割未満に留まりました。

転厩が成功する確率

さて、転厩をとりまくデータを俯瞰してきましたが、それではいよいよ、どのくらいの馬が転厩に「成功」しているのかについて、見ていきたいと思います。 …
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転厩市場の全体像 / 転厩馬 活躍ランキング / なぜ転厩するのか? / 転厩が成功する確率 / 未勝利馬の転厩 / 転厩が「うまい」クラブ

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著者
一口馬主DB 編集部