2023-09-24現在データ
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一口データ研究室
気になるテーマをデータで深く分析する、一口馬主ライフに役立つレポート集
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レポートNo.010 |

母の競走成績と繁殖成績の関係

今回は、読者の方からのリクエストに基づきまして、ブラックタイプはどこまで当てになるのか?といった視点で、特に母親の競走成績を中心とした考察をお届けします。


競馬を長く見ていると、現役時代にG1戦線で大活躍した母の産駒が、思うような成績をあげられないケースを目にすることがあります。一方で、母が未勝利引退や未出走馬にもかかわらず、産駒が大活躍をする例も意外と多く目にします。最近ではモーリスやキタサンブラックなどが記憶に新しいところです。


一口馬主の出資検討時においては、特にまだ繁殖能力が定かではない、母が若年の産駒の扱いに悩むことがあります。第2回で見たように、基本的に母が若いほど産駒の活躍期待値は高まりますが、そうした馬は自身の繁殖実績がまだ無いか、ごくわずかのため、ブラックタイプはどうしても頼りなく見え、出資には勇気が必要な場面もあります。

もちろん、近親、つまり母の母や、母の姉妹の繁殖成績も参考になりますが、それに加えて、もしブラックタイプで書かれている母の現役時の競走成績から、繁殖能力がどこまで期待できるかが分かれば、大いに参考になるはずです。

本レポートでは、主にブラックタイプ上の母馬の競走成績を中心に、それらが産駒の競走成績に及ぼす影響を、深く分析していきます。

繁殖牝馬の競走成績

まずは繁殖牝馬の現役時の競走成績に関して、基礎的なデータを見ていきたいと思います。

ご存知のように、競走成績もしくは血統が、一般的な馬よりも際立って良いことが要求される種牡馬とは異なり、繁殖牝馬になるための条件は特になく、現役を退いた牝馬は、オーナーや生産者の一存で繁殖に上がることができます。原則、一年に一頭しか仔を産めない、馬の生態系が背景にはあるでしょう。

それでは実際に、そもそも繁殖牝馬はどのような競走成績を残した馬がなっているのでしょうか。繁殖牝馬を競走成績で分類した統計が以下のグラフになります。

今回は分かりやすいように、競走成績をブラックタイプにも記載のある、母の「勝利数」を基準に分類しました。JRA登録馬のみを対象にしていますので、輸入繁殖は除かれます。

割合としては、未勝利馬が全体の約半数を占め、圧倒的に多くなっています。

ただ、これを繁殖牝馬となった馬たちの現役時代の「勝ち上がり率」という視点で見ると、約46%となります。JRAでの牝馬の勝ち上がり率は20%台ですので、平均と比べるとはるかに高い数値です。全体的には未勝利引退馬が多いとはいえ、牝馬であれば簡単に繁殖に上がれるわけではなく、種牡馬のようなエリート集団とまではいきませんが、競走成績で一定の選別を受けていることが、データからうかがえます。

また、未出走引退馬の割合も意外と多く、これも特徴的だと言えるでしょう。

母の競走成績と産駒の競走成績の関係

それでは、今回の本題である、母の競走成績と産駒の競走成績の関係を、データで掘り下げていきましょう。

以下は、母の「勝利数」ごとに競走馬を分類し、それぞれの「平均獲得賞金」「勝ち上がり率」をグラフにしたものです。 …
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全文4058文字 (現在1290文字まで表示)
繁殖牝馬の競走成績 / 母の競走成績と産駒の競走成績の関係 / 母の競走成績と大物輩出の関係 / 母が重賞馬の場合 / 母が輸入馬のケース / 母の成績と募集価格の関係

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著者
一口馬主DB 編集部