2023-06-04現在データ
HOME > ノウハウ読み物 > 厩舎の「距離適性」はどこまで重要か【一口データ研究室】
一口データ研究室
気になるテーマをデータで深く分析する、一口馬主ライフに役立つレポート集
-連載中-
レポートNo.066 |

厩舎の「距離適性」はどこまで重要か

厩舎の得意カテゴリが決まるメカニズムを考察
今回はひさしぶりに、厩舎について取り上げます。その中でも、「距離適性」に焦点を当てていきたいと思います。もちろん、実際に走るのは馬であるため、厩舎の「教育方針」といっても良いかもしれません。

種牡馬にそれぞれ得意とする距離や芝・ダート適性があるように、厩舎にも得意な分野、苦手な分野があることが、各種データからはうかがえます。

いずれもリーディング順位だけでは見えない「適性」がそこにはあり、わたしたち一口馬主の出資検討時においても、出資馬の将来をイメージする上で、考慮すべき情報の一つと言えるでしょう。


とはいえ、種牡馬はともかく「厩舎の適性」と言われても、あるいはピンとこないかもしれません。まずはひとつ、わかりやすい例を見てみましょう。

たとえば、全国リーディングの上位常連であり、本年も上半期終了の現時点で、全国2位につけている友道康夫厩舎と、僅差で同3位の安田隆行厩舎。いずれも、数々の名馬を輩出し、募集時には厩舎発表の時点で人気必至の名門厩舎です。

ところが、この2つの厩舎の勝利内容をくわしく見ていくと、だいぶ異なる傾向が見てとれます。 以下は、それぞれの厩舎を、本年の芝レースにおける「平均勝利距離」で比較したデータです。




友道康夫厩舎の平均勝利距離が2000mを超えているのに対して、安田隆行厩舎は1600mに満たない数値です。その差は約500mであり、非常に大きな差と言えます。

平均値と比較しても一目瞭然ですが、友道康夫厩舎は中長距離、安田隆行厩舎は短距離と、同じリーディングを争う厩舎でも、実は両者は異なるフィールドを主戦場にしていることがうかがえます。

ちなみに、主要種牡馬において似たデータを探してみると、ディープインパクト産駒が1909m、ダイワメジャー産駒が1476mで、ちょうど同じような差が確認できます。両種牡馬の距離適性の差は、競馬ファンであれば誰もが直感的に知るところではありますが、こうした数値を見ると、種牡馬と同様に、厩舎にも得意距離があることがわかります。


本レポートでは、こうした「厩舎の距離適性」が生じる背景について考察しながら、出資時にどこまで重視すべきかについても、掘り下げていきたいと思います。

厩舎の距離適性を「見える化」する

実は、本テーマを考えるにあたって、よりわかりやすい指標を考案し、当サイトの機能として新たに実装しました。ここからは主にその指標を用いますので、先に説明させていただきます。

具体的には、出資馬検討ツール集内、「厩舎徹底分析」の個別厩舎ページにおいて、「得意カテゴリ」のランク付け評価機能を導入しました。 …
本レポートは、プレミアム会員登録でご覧いただけます。
全文6027文字 (現在1129文字まで表示)
厩舎の距離適性を「見える化」する / 厩舎の距離適性が形成されるメカニズム / 育成ノウハウとレース選択による影響 / 厩舎の得意カテゴリと馬の適性のマッチング

プレミアム会員ご案内
すでにプレミアム会員の方は ログイン してご覧ください
一口データ研究室
2023年に覚えておきたい「次世代ニックス」10選 「未勝利善戦マン」が出世する可能性は? ブラックタイプで確認すべき「近親活躍馬」の優先順位 「早生まれ」のクラシック活躍可能性【2023年度版】 2023年度のJRA賞金・ルール変更を読み解く 【2022年度】 年間騎手評価ランキング 中央から地方に移籍してどこまで稼げる? [更新]新馬戦勝ち負け基準タイム2022 2022年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.4】 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.3】 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.2】 2022年クラブ別出資攻略ガイド 【vol.1】 サンデーサイレンスのクロス効果はどこまで本物? クラブ馬の「3勝クラスの壁」について考える 出資馬が「障害入り」したときに知っておくべきポイント 2022年度のJRA賞金・ルール変更を読み解く 【2021年度】 年間騎手評価ランキング 馬名応募のクラブ別傾向と対策 2021 [更新]新馬戦勝ち負け基準タイム2021 2021年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 「初仔」出資時に注意すべきポイントと狙い目 ポスト・ディープインパクト時代の出資戦略 厩舎の「距離適性」はどこまで重要か 「馬が買えない時代」のクラブ掛け持ち戦略【後編】 「馬が買えない時代」のクラブ掛け持ち戦略【前編】 「3アウト」から復活する馬の可能性 去勢は本当に効果があるのか検証する 「3歳3月新馬戦廃止」の影響を考える 【2020年度】 年間騎手評価ランキング 未勝利のまま中央で続戦する馬の可能性 [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 2020年クラシック世代「クラブ3冠」ランキング 輸入繁殖産駒、国別の成績傾向と対策 輸入繁殖産駒の躍進と国別ランキング 募集価格1000万円台馬の活躍可能性を考える 母父サンデーサイレンス系の攻略辞典 母父キングカメハメハVS母父ディープインパクト クラブ馬の「東西格差」はどこまである? ダートの大物を引き当てる難易度と出資時ポイント 「京都競馬場長期休止」で笑う種牡馬、泣く種牡馬 【2019年度】 年間騎手評価ランキング 馬券回収率の高いクラブ、低いクラブは? [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 親の健康から産駒の健康を予測する クラブ馬でクラシックを狙うための傾向と対策 出資馬が毎週出走するには、何頭必要? 短距離系種牡馬はお買い得? 新規開業調教師への出資時ポイント 「超高額馬」のコストパフォーマンス 調教師定年転厩の影響&再生が得意な厩舎 転厩の効果とクラブ別転厩傾向 JRAの賞金手当は今後も増える? 【2018年度】 騎手評価ランキング 好不調の波が大きいクラブ、安定したクラブ [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 クラブ馬の募集価格の推移と傾向 入厩前の手術による影響は? 「お買い得」な種牡馬の世代は? 新種牡馬の検討において注意すべき世代 新種牡馬は2年目産駒が狙い目? 種牡馬の年齢と産駒の成績の関係 未勝利戦デビューする馬の可能性 外国産馬の出資における傾向と対策 外国産馬の歴史と現在 【2017年度】 騎手評価ランキング [更新] 新馬戦の追い切り傾向の変化 地方転出→中央復帰馬が活躍する条件 重賞馬の下、全兄弟と半兄弟の違いは? 兄、姉が重賞馬のコストパフォーマンス 管囲が細いと故障も増える? 意外と知らない?「測尺」の基本 募集時の人気と成績の関係 エリート条件馬の選びかた 条件馬のままで、どこまで稼げる? 牡馬vs牝馬 コストパフォーマンス比較 【2016年度】 騎手評価ランキング 【クラブ別】馬名応募の傾向と対策 新馬戦で勝ち負けできる基準調教タイム 母の競走成績と繁殖成績の関係 新馬戦の結果で将来はどこまで決まる? 早期入厩・早期デビューは良いこと? 馬体重と適性、デビュー時期、故障の関係 馬体重(馬格)と成績との関係 インブリード vs アウトブリード 芝馬とダート馬のコストパフォーマンス 父と同じ毛色の仔は走る? 母の年齢考察 ~母高齢や初仔は? 早生まれ、遅生まれは良い?悪い?
(連載中)
著者
一口馬主DB 編集部