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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

2023年G1サラブレッドクラブ募集馬インタビュー

G1TC/追分ファームインタビュー2023
この時期恒例のクラブ推奨馬インタビュー。今回はいよいよ本年募集が開始されたG1サラブレッドクラブの推奨募集馬を取材させていただきましたので、その模様をお届けします。


―― 昨年の取材からもう1年が経ってしまいました。競馬にたずさわっていると、1年という歳月があっという間ですね。その後、G1サラブレッドクラブ所属馬のセリフォスがマイルチャンピオンシップを勝利しました。遅ればせながら、おめでとうございます!


2022年度最優秀短距離馬に輝いたセリフォス
(2022富士S出走時)


追分ファーム 井上氏(以下、井上) ありがとうございます。おかげさまで、追分ファームの生産馬でG1レースを勝つことができて良かったです。それまでも惜しい競馬がありましたので、何かひとつ噛み合えば勝てる馬だと思っていました。あの日は競馬の神さまが微笑んでくれたのではないでしょうか。ほんとうに良く頑張ってくれたと思います。


―― 実は僕はセリフォスが勝つと嬉しい反面、悔しい気持ちにもなるのです。なぜかというと、以前にも話したかもしれませんが、2020年の当インタビューにて井上さんからシーフロントの19を推奨してもらったとき、「実はこの馬、僕と誕生日が同じなので親近感が湧いています(笑)」と言い、井上さんも「誕生日も同じということで、ぜひ出資検討してみてください」と返してくれました。

ダイワメジャー×欧州系の繁殖牝馬ということも考慮して、本気で出資しようかと考えたのですが、僕にとっては少し高額でためらってしまったのですよ。あのとき勇気を出して出資していればと、セリフォスが勝つたびに賞金を40口で割って、地団駄を踏んでいます(笑)。今年はリベンジできる馬を探したいと思いますので、よろしくお願いします。

それでは各推奨馬について個別に話をうかがう前に、今年度の募集馬全体に対する総評をいただけますでしょうか。



井上 ディープインパクトやキングカメハメハ、ハーツクライといった、クラシック戦線を引っ張ってきた種牡馬たちの産駒が去り、今年度のラインナップには多彩な種牡馬の産駒が並んでいます。クラブ所属馬であったルヴァンスレーヴやサングレーザーの初年度産駒、そしてゴールスキーの産駒もいます。


―― あのゴールスキーですか?ゴールドアリュールの半弟であり、根岸ステークスを勝ち、マイルチャンピオンシップでも3着したゴールスキーですよね。種牡馬を続けているとは知りませんでした。


井上 プライベート種牡馬として九州の牧場に繋養されています。今回、縁あってお声掛けいただき、動画や写真等で馬の出来を確認させてもらい、九州から北海道に運ぶ形で、クラブで募集することに決めました。ゴールスキーの産駒は初めての募集になりますので、喜んでいただける会員さんもいらっしゃるかと思います。ゴールスキー産駒の九州産馬という渋い募集馬になります。


―― とてもニッチな血統ですね。どの種牡馬の産駒にもチャンスがある戦国時代ですが、その分出資馬を選ぶのも難しくなります。ディープインパクトやキングカメハメハ、ハーツクライの産駒に出資していればクラシック戦線に乗れる、という時代ではなくなったということです。多様な父を持つ募集馬の中から今回は牡牝3頭ずつ、計6頭に絞って推奨していただきます。


※以下、当日の取材順に掲載を行っており、各馬の並びは推奨の順位を示すものではございません。
※カタログ写真以外の各馬写真、インタビュー内容は2023年5月下旬時点。


【1】ディレクタの22(・募集番号 G2)

2/22 美浦 尾関知人 厩舎予定
キズナ (母父 Anodin)
5000万円 / 40 (1口 125万円)
── まずは牡馬からいきましょう。1頭目はディレクタの22です。ディレクタはフランス産馬で、仏国で11戦6勝、G3フィユドレール賞(芝2100m)を勝利しています。追分ファームにとって新しい繁殖牝馬になりますが、導入されたきっかけやこの血統への期待などを教えてください。


井上 フランスのアルカナのセリにて、47万ユーロ(約7000万円)で購入しました。他にも候補はいた中で、縁あって買うことができた繁殖牝馬です。2歳時に1勝、3歳になってから3連勝を含む5勝を挙げ、3歳以上の牝馬限定の重賞を勝っていることが大きな理由で導入を決めました。


── 比較的早くから仕上がっていたということですね。フランス産馬はコンパクトな馬体という印象がありますが、ディレクタはいかがでしょうか?


井上 2歳の7月に初勝利を収めていますので、早期からデビューできたお母さんということですね。馬体は特別大きいというわけではありませんが、標準的なサイズの馬体です。22年の産駒が初仔ということで、産駒が大きく出やすいキズナを初供用のお母さんにつけるのは良くあることです。そのおかげもあってか、本馬は現在の馬体重が433kgということで標準的なサイズに出ています。当歳時はどちらかというと小柄かなと思わせましたが、年が明けてからグッと成長を見せています。体高が152.5㎝と特別に大きいわけではありませんが、体重的にはしっかりとある馬体ということですね。


── デビュー時には470~480kgにはなっていそうですから、重くなりがちなキズナ産駒の牡馬としてはちょうど良いサイズになるのではないでしょうか。この配合であれば、芝で走ってクラシックを目指したいですものね。


井上 最初から500kgを超えてしまうと、パワータイプのダート寄りになってしまいますから、何とか500kg手前あたりでデビューを迎えたいものです。本馬は筋肉量が豊富ですし、スケールの大きな馬体をしています。気性的には、自分を持っているというか、気の強いところがあり、放牧地でも前進気勢の強さを見せてくれています。競走馬らしい良い性格をしていると思いますよ。父のキズナもストームキャットの血が入っており、気の強い馬だと聞いていますので、そのあたりは父から受け継いでいるのではないでしょうか。クラシックを意識できるような馬になってほしいと願います。




【2】ソロダンサーの22(・募集番号 G18)

5/8 美浦 萩原清 厩舎予定
ルヴァンスレーヴ (母父 ゴールドアリュール)
3000万円 / 40 (1口 75万円)
── 続いてソロダンサーの22です。 …
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第122回 2023年G1サラブレッドクラブ募集馬インタビュー
~お知らせ~
2023年5月、当コラムの書籍続編
馬体は語る2」が発刊されました
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
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