新種牡馬の産駒を見る上で大切にすべきこと
社台スタリオンステーション
徳武英介氏インタビュー 第1回
徳武英介氏インタビュー 第1回
日々サラブレッドと向き合いながら、馬を見ることを仕事としている競馬関係者の方々へのインタビュー。今回からは社台スタリオンステーションの徳武英介さんに、初年度1歳産駒の募集がいよいよ本格開始される、注目の新種牡馬を中心にお話しをいただきます。序章となる今回は、一口馬主が出資するにあたっての馬の見かたについてヒントを頂きました。
種付けシーズンに突入した社台SSにうかがいました
お忙しい中ありがとうございました
お忙しい中ありがとうございました
社台スタリオンステーション (公式HP)
北海道勇払郡安平町。日本競馬界を代表する規模と実績を誇るスタリオン。現役ではディープインパクト、キングカメハメハ、ロードカナロア、ハーツクライなど多くのリーディング上位種牡馬を繋養。徳武英介さんは事務局で長年にわたり数々の名種牡馬に携わる。
今は競馬ファンにとって「良い時代」
― 実は今から15年前、私はまだ若くて(笑)、競馬のブログを書き始めたばかりの、どこの馬の骨とも分からない、いち競馬ファンでした。父の仕事の縁でキングカメハメハの日本ダービーの祝勝会に参加した翌日、金子真人オーナーの粋な計らいで、社台スタリオンステーションで種牡馬を見せていただく機会がありました。その時、丁寧に案内してくださったのが徳武さんでした。
シンボリクリスエスやマンハッタンカフェが当時の新種牡馬であり、黒光りする堂々とした馬体に畏怖の念を抱いたのを今でも覚えています。その後、「優駿」などの競馬雑誌で種牡馬について語られているのを読み、その表現力の豊かさに憧れていました。徳武さんにかかると、種牡馬のその人(馬)となりが読者にも伝わってくるようです。今日は久しぶりにお会いでき、お話しを聞く機会をいただけて光栄です。
徳武英介氏(以下、徳武) ありがとうございます。ここ数十年において、種牡馬の情勢も大きく変わりましたね。僕が若かった頃は輸入馬が全盛期の時代でした。今はお父さんが日本で走ったことのある産駒がほとんどですから、競馬ファンにとって、こんなに良い時代はありません。競馬関係者ではなくても、馬券にせよ一口馬主にせよ、頂点を極める(勝てる)可能性がある時代ということです。たとえば、サンデーサイレンスやトニービン、ブライアンズタイム、ミスタープロスペクター系など、その特徴を覚えているだけで、ほとんどの馬の血統を語ることができ、父や母に似ているかどうかも簡単に判断できるからです。
お父さんとお母さんの良さを忠実に受け継いでいるかどうかは重要です。基本的には走る馬しか種牡馬にはなっていませんから、その遺伝子を受け継げば産駒も走るはずです。ところが、中には繁殖牝馬に似た仔しか出さない種牡馬もいます。また、種牡馬の良さをそのまま引き出す繁殖牝馬もいれば、なぜか自分にしか似ていない仔を出す繁殖牝馬もいます。100m走が得意な親から砲丸投げやマラソンの選手が生まれてこないように、どれだけ親に似ているか、その資質を素直に受け継いでいるかを、まず見るべきです。
特にうち(社台グループ)は産駒が走らない種牡馬は種付けをしませんし、産駒が走らない繁殖牝馬は外に出してしまうので、結果が出ている種牡馬(もしくは繁殖牝馬)かまだ結果が見えていない種牡馬(もしくは繁殖牝馬)しか残っていないのです。そう考えてもらうと、最終的に走る走らないを分けるのは、どれぐらい父や母の良さを忠実に受け継いでいるかにかかっていることを理解していただけると思います。
シンボリクリスエスやマンハッタンカフェが当時の新種牡馬であり、黒光りする堂々とした馬体に畏怖の念を抱いたのを今でも覚えています。その後、「優駿」などの競馬雑誌で種牡馬について語られているのを読み、その表現力の豊かさに憧れていました。徳武さんにかかると、種牡馬のその人(馬)となりが読者にも伝わってくるようです。今日は久しぶりにお会いでき、お話しを聞く機会をいただけて光栄です。
徳武英介氏(以下、徳武) ありがとうございます。ここ数十年において、種牡馬の情勢も大きく変わりましたね。僕が若かった頃は輸入馬が全盛期の時代でした。今はお父さんが日本で走ったことのある産駒がほとんどですから、競馬ファンにとって、こんなに良い時代はありません。競馬関係者ではなくても、馬券にせよ一口馬主にせよ、頂点を極める(勝てる)可能性がある時代ということです。たとえば、サンデーサイレンスやトニービン、ブライアンズタイム、ミスタープロスペクター系など、その特徴を覚えているだけで、ほとんどの馬の血統を語ることができ、父や母に似ているかどうかも簡単に判断できるからです。
お父さんとお母さんの良さを忠実に受け継いでいるかどうかは重要です。基本的には走る馬しか種牡馬にはなっていませんから、その遺伝子を受け継げば産駒も走るはずです。ところが、中には繁殖牝馬に似た仔しか出さない種牡馬もいます。また、種牡馬の良さをそのまま引き出す繁殖牝馬もいれば、なぜか自分にしか似ていない仔を出す繁殖牝馬もいます。100m走が得意な親から砲丸投げやマラソンの選手が生まれてこないように、どれだけ親に似ているか、その資質を素直に受け継いでいるかを、まず見るべきです。
特にうち(社台グループ)は産駒が走らない種牡馬は種付けをしませんし、産駒が走らない繁殖牝馬は外に出してしまうので、結果が出ている種牡馬(もしくは繁殖牝馬)かまだ結果が見えていない種牡馬(もしくは繁殖牝馬)しか残っていないのです。そう考えてもらうと、最終的に走る走らないを分けるのは、どれぐらい父や母の良さを忠実に受け継いでいるかにかかっていることを理解していただけると思います。
成長曲線とコンフォメーション
― なるほど、とても分かりやすい論理です。優れた種牡馬と繁殖牝馬を配合している以上、どの馬も走る可能性が高く、走って当然なのですが、それでも最終的に走る走らないを隔てるのは、どれだけ両親に似ているか、良さを受け継いでいるのかということですね。そこを見極めるためには、種牡馬や繁殖牝馬の良さを知っておく必要がありますね。
徳武 はい、お父さんやお母さんの良さを踏まえた上で、その産駒が今、両親の良い状態を受け継いで理想的な形でいるのかどうかを見るということです。 …
徳武 はい、お父さんやお母さんの良さを踏まえた上で、その産駒が今、両親の良い状態を受け継いで理想的な形でいるのかどうかを見るということです。 …