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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

52.【種牡馬別】オルフェーヴル産駒の見かた

種牡馬別の馬体の見かたとして、今回はオルフェーヴル編をお届けします。今あるのは初年度産駒の実績だけですから、これから産駒の傾向も少しずつ変わってゆくはずで、あくまでも現時点での見立てということになります。その通りだったということになればもちろん嬉しいですし、もしかすると的外れなことになるかもしれません。10年後に答え合わせができれば面白いですね。

血を残してこそ最強馬

私がオルフェーヴルは種牡馬としても成功すると断言するのは、血を残してこそ最強馬であると考えるからです。競走馬としてだけではなく、種牡馬として自身の資質の高さを証明するということです。もちろん、繁殖牝馬の質に大きく左右される面もありますが、それでも本当に有能な種牡馬は何らかの形で頭角を現すもの。たった数戦のレースを走っただけでは分からない、サラブレッドとしての本当の強さは、歴史に血を残すことによって証明されてゆくのです。

こうした考えに至ったのは、サイレンススズカなどの名馬を育てた橋田満調教師から聞いた、「競馬のレースは、サラブレッドの選抜競走である」という言葉がきっかけでした。つまり、優秀なサラブレッドの血を選抜するために、競馬のレースは行われるということです。私たちが目の前で見ているレースは、競馬全体の世界から見るとごく一部に過ぎず、その背景には過去から綿々とつながってきた血の歴史があり、先には果てしない未来が広がっています。レースの勝ち負けと血を残すことの、どちらが主でどちらが従かというと、圧倒的に後者が主なのです。もう少し見方を変えると、競馬のレースは血を残すという偉業の前哨戦にすぎないのですね。

だからこそ、競馬のレースで圧倒的に強かっただけでなく、その血を後世まで残して初めて最強馬であったと称されるべきです。そういった意味においては、キングカメハメハやディープインパクト、ハーツクライらは本当の意味で強いということです。彼らの現役時代に立ち会えたことを私は誇りに思いますし、同様にオルフェーヴルの走りをこの目で見て、その強さは本物であったと確信している以上、彼が種牡馬としても成功することに疑いがないということです。

オルフェーヴル自身の募集時馬体

オルフェーヴル自身は、募集時から実に手脚が長くてすっきりした、サンデーサイレンスからステイゴールドへと続く、現代の日本競馬に適した素軽さを象徴する馬体を有していました。全兄ドリームジャーニーに母系の重苦しさが見え隠れするのとは対照的です。オルフェーヴルは気性的な難しさが闘争心として発揮されたからこそ大成しましたが、馬体だけを見ても、母オリエンタルアートの兄弟の中でも抜けて良かったのです。

オルフェーヴル産駒の傾向

この先どうなるか分かりませんが、オルフェーヴルの産駒にはムラがあると言われています。 …
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第52回 【種牡馬別】オルフェーヴル産駒編
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
馬体の見かた講座
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