2021-09-20現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

G1サラブレッドクラブに聞く 今年の推奨募集馬

G1TC/追分ファームインタビュー2021
今回は、いよいよ募集が開始された、G1サラブレッドクラブの推奨募集馬を取材させていただきましたので、その模様をお届けします。


― 本年も社会情勢により電話取材となりましたが、追分ファームやG1レーシングの公式ツイッターからは、北海道の季節の移り変わりが伝わってくるにもかかわらず、現地に赴けないのはとても残念です。その気持ちは、クラブの方々も一口馬主ファンも同じだと思います。

しかし、実馬を生で見ることができない中だからこそ、募集カタログだけでは伝わり切らない情報を、G1サラブレッドクラブの長澤さんと追分ファームの井上さんへのインタビューを通して読者の皆さんにお届けできれば幸いです。まずは長澤さんより、クラブ全体の募集についてお話をお聞かせ願いたいと思います。


G1TC 長澤氏(以下、長澤) 今年も見学等、制限されている部分が多いのですが、こういった時だからこそ、クラブとしても新しい取り組みやアイデアによって、多くの皆さまに募集馬や所属馬について知っていただきたいと考えています。ツイッターもそのうちのひとつですし、2歳馬の坂路における調教動画を横から撮影して公開するという試みも好評でした。

今年の募集馬は過去最多の64頭となります。追分ファームの提供馬(38頭)がメインとなり、社台ファーム(5頭)、白老ファーム(11頭)、ノーザンファーム(10頭)からも提供を受けており、社台グループ4牧場の生産馬が揃っているのが当クラブの特徴のひとつです。追分ファームの提供馬の中でも、クラブ出身のお母さんや種牡馬となったシルバーステートの産駒を募集できるようになりました。かつてはまだ若いクラブですと言ってきましたが、歴史が少しずつ積み重なってきている気がします。


― 昨年が10周年(11年目)とおっしゃっていましたので、G1サラブレッドクラブも今年で12年目に入るのですね。僕の感覚でも、G1サラブレッドクラブが設立されたのは確かつい最近のことのような気がします。


長澤 同じグループである社台TCさんやサンデーTCさんと比較してしまう癖が抜けないのですが(笑)、私たちもついに10年を超えてきましたからね。特に今年のクラシック戦線に出走したヴィクティファルスの存在は大きかったです。お母さんのヴィルジニアはクラブ出身馬であり、産駒を募集するだけではなく、こうして重賞馬を送り出して結果を出せたことで、続けてきたチャレンジが実ってきた実感があります。


― ヴィクティファルスのスプリングステークスは僕も単勝馬券を取らせてもらいました。4コーナーでは正直届かないかなと思いましたが、素晴らしい差し脚でした。こうしてクラシック戦線に乗ってくる馬が出ると盛り上がりますよね。


長澤 おめでとうございます。ヴィクティファルスのようなクラブ出身のなじみのある血統もそうですが、今年は新しい種牡馬や繁殖牝馬もラインナップとして揃っています。34頭の種牡馬の産駒がいてバラエティに富んでいますね。

たしかにディープインパクトやキングカメハメハの産駒がいないのは寂しいところですが、その分、様々な種牡馬の産駒から選んでいただける楽しみもあるのではと思っています。種牡馬として抜けた実績を持つ世代がいなくなったことで、あらゆる種牡馬から活躍馬が出る可能性が出てきました。これから始まる1次募集でも、どの馬が人気になるのか我々にも予想がつかないですね。


― ありがとうございます。長澤さんからは後ほど、追分ファーム提供馬以外の推奨馬リストを紹介頂く予定です。

それでは、今年も追分ファームの井上さんより、厳選していただいた8頭の推奨馬について、現在の牧場での様子や成長過程について詳しく教えてもらいたいと思います。


※以下、カタログ番号の若い順にインタビューを行っており、各馬の並びは推奨の順位を示すものではございません。
※文中の馬体重・状態などはインタビュー時点(2021年5月末頃)の情報となります。


【1】メリオーラの20(・募集番号 G8)

4/10 美浦 池上昌和 厩舎予定
ダイワメジャー (母父 Starspangledbanner)
2000万円 / 40 (1口 50万円)
― 今年の募集馬のお話を聞くために、実は昨年にご紹介いただいた8頭の現況をチェックしてみたのですが、かなり育成が進んでいる馬も多くいますね。特に、シルバーステートの初年度産駒の1頭として推薦していただいたメリトクラシー(メリオーラの19)は、栗東の坂路でこの時期に52秒台の時計を出しており、素質の高さの片鱗を見せています。現在の姿を写真で見たとき、いつの間にか背もすっと伸びていて、理想的なシルエットになっていたので正直驚きました。半姉の成長過程を見ると、当然妹にも大きな期待がかかりますね。


追分ファーム井上氏(以下、井上) そうですね。お姉さんの存在は大きいです。1年前のメリトクラシーは、胴部には伸びがありましたが、体高が低めで、そこまで見栄えのするタイプではありませんでした。ところが、1歳で調教を初めてから2歳にかけて馬体がグッと成長し、今は500kgを超えてきています。さらにここに来て坂路で良い時計を出して、武幸四郎調教師を驚かせているぐらいです(笑)。しかも目一杯に追って出した時計ではありませんからね。シルバーステートにとっては初年度産駒ですし、母メリオーラにとっても初仔になりますので、メリトクラシーが何とか頑張って走り、父と母の評価を高めてもらいたいと願っています。


― メリオーラの20(父ダイワメジャー)をパッと見たとき、ダイワメジャーらしさが前面に出ていると感じました。半姉メリトクラシーはシルバーステートらしさが、妹はダイワメジャーらしい筋肉量と骨量の豊富さ、そして馬体全体のしっかりとしたシルエットが出ているのを見ると、メリオーラは種牡馬の特徴をそのまま引き出すタイプの繁殖牝馬なのだと思います。


井上 はい、メリオーラの20は父譲りの立派な骨格を誇っていますし、しっかりとした筋肉もついて、今のところ肌艶も年間を通して良い馬です。体質の強さが現れているのではないでしょうか。動きに関しては、トモの踏み込みがしっかりとしていて、硬さを感じさせることもなく、どちらかと言うと柔らかい方ですね。放牧地での動きも目立っている1頭です。

お母さんのメリオーラは、昨年も紹介したとおり、ヨーロッパの競馬場で芝2000mのリステッド競走勝ちの実績があります。母自身は距離をこなしてくれましたが、メリトクラシーもメリオーラの20もどちらかというと短距離志向のスピードタイプだと思います。それは母の父Starspangledbannerがヨーロッパのチャンピオンスプリンターであり、1代を経て、母を経由してスピードを産駒に伝えてくれているのかなと考えています。


― 隔世遺伝ということですね。ダイワメジャーらしさということで言えば、仕上がりの早さや脚元の丈夫さも挙げられます。ダイワメジャーは特に牝馬に活躍馬が出ていますので、そういう意味でも、メリオーラの20にとってはプラス材料ばかりです。


井上 ダイワメジャー産駒はベーシックな部分がしっかりしていますし、自然と良くなるというか、育成過程における頓挫も少ないですね。 …
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著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。競馬ブログ「ガラスの競馬場」を主宰。当コラムの書籍も発売中
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