馬の歩きを見るプロ・佐藤駿さんに聞く走る馬の見分け方
【前編】歩様動画を見る際の4つのチェックポイント
日々サラブレッドと向き合いながら、馬を見ることを仕事としている競馬関係者の方々へのインタビュー。今回は栃木県にある育成牧場・トゥモローファーム(株式会社Tomorrow Farm) の佐藤駿さんにご登場いただきます。
佐藤さんはデビュー前の1歳馬や現役の古馬たちに騎乗し、その育成にたずさわっているプロフェッショナルです。またセリ市などでのアドバイザーとしてもご活躍で、特に「馬の歩き」を見る卓越したセンスの持ち主として、業界内では知る人ぞ知る存在です。
本インタビューでは、佐藤さんが馬を見る上で大事にしていること、走る馬を見極めるための「馬の歩き」の見かた、そして僕たちが知っているようで意外と知らない競走馬の育成について教えていただこうと思います。
佐藤さんはデビュー前の1歳馬や現役の古馬たちに騎乗し、その育成にたずさわっているプロフェッショナルです。またセリ市などでのアドバイザーとしてもご活躍で、特に「馬の歩き」を見る卓越したセンスの持ち主として、業界内では知る人ぞ知る存在です。
佐藤駿(さとう しゅん)さん プロフィール
BTC(公益財団法人・軽種馬育成調教センター)の育成調教技術者研修を修了後、アクティファーム、笹島智則牧場に勤務。その後、吉澤ステーブルWESTを経て、現在はトゥモローファーム(株式会社Tomorrow Farm)にて競走馬の育成・調教に携わる。また、馬主に向けてセリ等での購買アドバイザーも務める。
「生」よりも「動画」を重視する理由
──まずは読者の方に向けて自己紹介をお願いします。育成牧場で働く以前には、生産牧場でも働かれていた経験があると聞いています。
佐藤駿氏(以下、敬称略) 18歳のときBTC(軽種馬育成調教センター)の研修生としてスタートし、翌年からアクティファームさんという育成場で働きました。その後、BTCの同期の笹島智則さんから生産牧場をやるので手伝ってくれないかと言われ、育成と生産に携わりながら牧場に寝泊まりするなどして2、3年過ごしました。あの時期は何かと忙しく大変でしたが、今思えば楽しかったですね。
これは余談ですが、私が生涯食べた中でいちばん美味しかったお肉があります。浦河にいたとき、鹿を猟銃で仕留める男性にもらった鹿肉です。今さっき解体してきた、血がついてまだ温かさの残っている鹿肉をジップロックに入れた状態でいただきました。その鹿肉を焼いて塩をつけて食べたときの感動は今でも忘れられません。どんな高級な和牛よりも柔らかくて甘味があり、上品な味も香りも素晴らしかったです。
その後、滋賀県の吉澤ステーブルWESTを経て、現在はトゥモローファームで育成にたずさわっています。
── ジャックドールやエポカドーロなど数々の名馬の背中を知る育成のプロであり、また、佐藤さんは「馬の歩き」を見ることに特に秀でていると聞いたことがあります。
佐藤駿氏(以下、敬称略) 18歳のときBTC(軽種馬育成調教センター)の研修生としてスタートし、翌年からアクティファームさんという育成場で働きました。その後、BTCの同期の笹島智則さんから生産牧場をやるので手伝ってくれないかと言われ、育成と生産に携わりながら牧場に寝泊まりするなどして2、3年過ごしました。あの時期は何かと忙しく大変でしたが、今思えば楽しかったですね。
これは余談ですが、私が生涯食べた中でいちばん美味しかったお肉があります。浦河にいたとき、鹿を猟銃で仕留める男性にもらった鹿肉です。今さっき解体してきた、血がついてまだ温かさの残っている鹿肉をジップロックに入れた状態でいただきました。その鹿肉を焼いて塩をつけて食べたときの感動は今でも忘れられません。どんな高級な和牛よりも柔らかくて甘味があり、上品な味も香りも素晴らしかったです。
その後、滋賀県の吉澤ステーブルWESTを経て、現在はトゥモローファームで育成にたずさわっています。
── ジャックドールやエポカドーロなど数々の名馬の背中を知る育成のプロであり、また、佐藤さんは「馬の歩き」を見ることに特に秀でていると聞いたことがあります。
以前、セレクトセールでも馬主さんに同行されているのをお見かけしましたが、最近セリで見た1歳馬の中で、歩きが良くて印象に残っている馬はいますか?
佐藤 2020年のセレクトセールで見たアグリですね。 …
佐藤 2020年のセレクトセールで見たアグリですね。 …