2023-01-29現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

出資馬の「未来の姿」を想像するために必要なこと

新シリーズ【線で馬体を見る】
当連載での新たなシリーズとして、「線で馬体を見る」考え方について語っていきます。

初回となる今回は、総論として何頭かの事例を取り上げながら実際に「線で馬体を見る」ことで、馬によってさまざまな成長パターンがあることを感じてもらえたら幸いです。そして次回以降は、骨格や筋肉といったパーツ単位の成長にも焦点を当てながら、馬体の成長を予測するための基本的な知識を積み上げます。

すべてを語るには相応に長い期間が必要となる見込みのため、他のインタビュー回などとも並行しながら、不定期に連載していく予定です。

時系列で馬体を見る意味

「線で馬体を見る」と言っても、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。たとえばパドックを見るとき、「横で見る」といえば周回している他馬との比較であり、「縦で見る」といえばその馬の過去のパドックとの比較という意味があります。「線で馬体を見る」とは、縦でパドックを見るとほぼ同義であり、つまり時系列で馬体の成長を追ってゆくということです。

一口馬主の出資において、募集時の馬体はあくまでも「点」であり、現役の競走馬としてデビューしてから全盛期を経て引退するまでのそれぞれの馬体を点としてつないでいって、線として馬体を見るとき、そこにはどのような変化や成長が見られるのでしょうか。

正直に言うと、点と点をつないで線にするのは怖い気もします。なぜかというと、僕たちが思っているほどの成長を遂げていない、もしくは想像を超えた劇的な変化を見せているかもしれないからです。僕たちはどうしても過去から現在の延長線上に未来があると考えてしまいますが、実はそうでもなかったりします。想像もつかなかいような未来の姿を知ってしまったとき、僕たちは現在についての解釈を修正せざるを得なくなるはずです。今回の連載がそのような機会になるような気がしてなりません。

当連載の100回記念インタビューにて、線で馬体を見ることについて、岡田牧雄さんはこうおっしゃっていました。

岡田牧雄氏
私たちのように安く馬を買って走らせるためには、未来の姿を想像できなければいけません。「この筋肉は将来的に邪魔になるぞ」とか、「この馬は今こうだから、将来的にはこう良くなるぞ」という具体的な形でスタッフには話します。馬体だけを見て未来図を描くのは難しいので、この系統はこのような成長過程をたどるというように、血統背景や過去の経験を踏まえて予測していますね。

そのためには、その世代で何頭の馬をきちんと見て判断したかが大事になってきます。スタッフにはセリ名簿に自分の評価を書き込むように伝えていますよ。見返すこともできますし、あとで嘘を言わないようにね(笑)。その馬たちがデビューしてから引退するまで追跡調査してみるべきです。



岡田牧雄さんが馬を買って走らせるように、僕たちは一口馬主として出資して、その馬が走るのを待ちます。その時間軸は同じです。

現在よりも未来の姿が大切だということ。そして、現在から未来の姿を想像するためには、未来と現在をつないでみる作業が必要であり、そのためには現在の評価を残しておく必要があります。そうすれば、走ったあとから、「走ると思っていた」と言うことができなくなりますからね。これも線で馬体を見る怖さのひとつです(笑)。

劇的な成長を遂げた事例

前置きはこのあたりまでにして、いよいよ具体的な馬について、線で馬体を見てみましょう。 …
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著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
馬体の見かた講座
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