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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

30.【種牡馬別】ネオユニヴァース産駒の見かた

今回はネオユニヴァースについて語っていきます。本来であれば、モーリスやゴールドアクターを出し、一気に日高のトップサイヤーにまで登り詰めたスクリーンヒーローの順番かと思いますが、スクリーンヒーローについては岡田牧雄さんがインタビューで熱く語ってくれましたし、何よりもクラブ馬としては片手で数えるほどしか産駒が存在しないという現状があります。

また、豊富な実績があるサンデーサイレンス系種牡馬、たとえばステイゴールドやゴールドアリュール、マンハッタンカフェなどを取り上げたかったのですが、この先、産駒が誕生しないことを考えると手控えざるをえません。そこで押し出されるようにして上がってきたのがネオユニヴァースです。

にもかかわらず、詳しく調べていけばいくほど、ネオユニヴァースの種牡馬としての素晴らしさを再認識することになりました。詳しくは後ほど語っていきますが、ちなみにネオユニヴァースの2017年度の種付け料は120万円だそうです。ヴィクトワールピサが250万円ですから、たしかにレックススタッドに移ったことも理由のひとつですが、不思議なことに、自身が生きているにもかかわらず、子どもに抜かされてしまったということになります。それはたとえばハーツクライよりもジャスタウェイの方が、(もし生きていれば)ステイゴールドよりもゴールドシップの方が、種付け料が高いという逆転現象です。

基本的にそのようなことはありえませんから、ヴィクトワールピサが高く評価されているのか、それともネオユニヴァースが低く評価されているのかを考えると、私は後者だと思います。つまり、種牡馬としての実力や実績に対しての市場の評価が低すぎるということです。私がそうであったように、ネオユニヴァースは盲点になっているのです。


ネオユニヴァースは皐月賞と日本ダービーを制し、クラシック3冠に王手をかけましたが、惜しくも菊花賞は3着に敗れてしまいました。今から思うと、日本ダービー後に宝塚記念を使ってしまったのが良くなかったのでしょう。当時は今ほど外厩が発達していなかったこともあり、夏休みは涼しい北海道に放牧に出すか、それとも栗東に残しておくかという選択肢の中で、瀬戸口勉元調教師は手元に置いておく方を選んだのだと思います。そうしているうちに、思ったよりも疲れが見られないとのことで、せっかくだからと宝塚記念にも積極的に出走してしまったのでしょうか。やはり目に見えない疲れはあったはずで、特に日本ダービーを制したあとですから、思い切ってすぐに放牧に出した方が良かったと思います。この夏の過ごし方が尾を引き、その後の戦績は尻すぼみになってしまいましたが、おそらく体調さえ戻れば、私たちの思っているよりもさらに強い馬であった可能性は高いです。

ネオユニヴァース自身の特徴

ネオユニヴァース自身は、手脚がすらりと長く、馬体の幅の薄い、柔らかさと緩さが同居しているような馬体です。 …
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第30回 【種牡馬別】ネオユニヴァース産駒編
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
馬体の見かた講座
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