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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

77.【種牡馬別】ルーラーシップ産駒の見かた

種牡馬別の馬体の見かたとして、今回はルーラーシップ編をお届けします。そろそろと思いつつも、もう少し活躍馬が出てきたらにしようと考えているうちに、ロードカナロアがすい星のごとく現れ、キングカメハメハの後継種牡馬としての地位や名声をあっという間に奪っていきました。

ところが、ルーラーシップ産駒も昨年度は遂にブレイクし、コ―フィールドカップを勝ったメールドグラースを筆頭に、数々の重賞ウィナーが誕生しました。いよいよルーラーシップについて語るときがやって来たのです。

メルボルンカップで見たメールドグラースの底力

ルーラーシップの種牡馬としての成功を僕が確信したのは、先ほど挙げたメールドグラースが登場したことと、昨年の3歳世代(2016年度産)あたりから、産駒全体のレベルが底上げされてきたのを肌で感じたからです。

これまでルーラーシップの代表産駒はキセキでしたが、メールドグラースもそれに並ぶ、もしくは追い越すところまで達したと思います。僕がメールドグラースを強いなと感じたのは、敗れはしたものの6着に突っ込んできたメルボルンカップでした。それまでも日本のG3レースを3連勝し、オーストラリアのコ―フィールドカップでG1初勝利を挙げましたが、それでも半信半疑というか、正直に言うと、日本のG1タイトルにはわずかに手が届かないレベルではないかと評価していました。しかし、メルボルンカップでの走りを観たとき、メールドグラースの内に秘められている、無尽蔵のスタミナを発見したのです。

メルボルンカップというのはかなり特殊なレースであり、分かりやすく言うと、ステイヤーのためのそれです。天皇賞・春のような軽い馬場で行われる3200mとは大きく違い、本質的なスタミナを問われるマラソンレース。日本の競馬で活躍するために必須である、軽さやスピードとは対極にある資質が求められるレースがメルボルンカップ。現地に観戦しに行った僕の感覚からさらに付け加えると、長距離戦で折り合ってスタミナをロスせずに走るためには、気性的な落ち着きや我慢強さが必要です。

メルボルンカップのパドックを歩くメールドグラースの姿を見て、あまりにも落ち着き払っていたので驚きました。メールドグラースはブリンカーをしているように、気性的にやや難しいところがあるのかと心配していましたが、全くそのようなことはなく、むしろ環境に慣れるのが早く、精神的な強さを備えていることが伝わってきました。そしてレースでは後方からのレースになってしまい、そのまま力尽きるかと思いきや、ゴール前では猛然と追い込んできたのですからさらに驚かされました。僕の予想は良い意味で裏切られましたが、つまり、その裏切られた部分である「スタミナの豊富さ」と「賢さ」こそが、メールドグラースの長所であり、ルーラーシップから産駒に伝わる最大の特徴なのです。

ルーラーシップ自身の馬体

まずはルーラーシップ自身の馬体について見ていきましょう。 …
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著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
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