7.心を映し出す「目」と「耳」

今回は、サラブレッドの顔を構成する要素のひとつである目と耳について説明していきます。「目は口ほどにモノを言う」ということわざがあるように、もともと口がきけない馬にとっても、目は心を映し出す窓になります。

ディープインパクトやキングカメハメハなど、数々の名馬を探し当てた金子真人オーナーは、馬選びの際に「まずは目を見る」とおっしゃっていました。馬の目には、喜怒哀楽といった感情だけでなく、その馬の性格さえも映し出される。気性が穏やかで賢い馬は、黒く澄んだ目をしているものです。

やる気や気合は目に表れてくるものであり、生き生きとして底光りするような眼光の馬は、間違いなく体調が良く、走ることに対して前向きです。逆に精彩を欠き、どんよりと濁っているような目の馬は、明らかに調子を落としている。走る気のない馬は、相手をうかがいながら走るフリをしているズルそうな目になる。

言葉で説明するのは難しいのですが、元来、僕たち人間には、相手の目を見て心を推し量る能力が備わっているのではないでしょうか。あなたが馬を見て、「走る気に満ちている」、「元気がなさそう」などと感じたら、その直感をまずは大事にしてみてください。