2022-06-25現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

ファンディーナの初仔で学ぶ当歳馬の見かた

谷川貴英氏(谷川牧場代表)インタビュー
今回は、当歳馬の見かたについて取り上げてみたいと思います。

これまでこのコラムでは、クラブ募集では主流と言える1歳馬を念頭に進めてきました。一方で、当歳募集を行っているクラブも、牧場集合系クラブや、預託生産も行っているバイヤー系クラブなどで、一定数存在します。クラブ以外ではセレクトセールなどでも、当歳馬が1歳馬と同数程度上場され、毎年活発な取引が行われています。

当歳馬については、やはり生まれた時から日々接し、成長を見守っている生産者の方に聞くのが一番、ということで、今回は浦河の名門・谷川牧場代表の谷川貴英氏にご登場いただきます。谷川牧場は、ターファイトクラブの当歳募集からファンディーナなどの活躍馬を輩出しており、SNS等でも活発に情報を発信されています。当歳馬についてのお話を聞くにはまさに適任者と言えるでしょう。ちょうど、そのファンディーナの初仔がクラブで当歳募集開始されるタイミングということから、同馬も見せていただきながら、当歳馬を見る上でのポイントなどを詳しく聞いてみたいと思います。

当歳馬とは、言うまでもなく1歳馬の過去の姿であり、その姿かたちや成長曲線を学ぶことは、1歳馬、そして現役馬を見る上でもきっと役に立つはずです。


谷川牧場 / 谷川貴英代表

1912年創業。北海道浦河郡浦河町にて競走馬の生産・育成を行う。主な生産馬にはタケホープ(日本ダービー等)、ミナガワマンナ(菊花賞等)、サクセスブロッケン(フェブラリーS等)、チョウカイキャロル(オークス等)など。ターファイトクラブの株主牧場。最近の主なクラブ活躍馬にインカンテーション(武蔵野S等)、ファンディーナ(フラワーカップ等)など。

当歳募集は難しい?

― 今回はお時間をいただき、ありがとうございます。谷川牧場では生産から育成まで一貫して手掛けられ、生まれてから入厩直前までの成長を見られているということも心強いポイントです。ターファイトクラブでの最近の谷川牧場提供馬は、即満口・抽選になるほどの人気を集めていますが、まず、クラブへ募集馬を提供する側として、当歳募集というのはどのような位置づけなのでしょうか?


谷川牧場代表 谷川貴英氏(以下、谷川) 当歳馬というのはね、本当に難しいですね。


― いきなり牽制ですね(笑)。生産者から見ても、やはり難しいですか。


谷川 難しい。やっぱり血統の先入観などもあって、ウチでも中には結果が出ていない提供馬もいますからね。(確実性だけを求めるなら)ぜんぶ2歳募集で出したいくらいです(笑)。

ただ、ターファイトクラブは当歳募集の人気がとても高いんですよね。当歳募集ならではの楽しみ方というのがあって、出資馬が小さくかわいい盛りの時から牧場に遊びに来て、写真を一緒に撮って触れ合って、成長を見守って、と。


― 当歳馬は本当にかわいいですからね。想像するだけで楽しそうです。ターファイトクラブならではのアットホームなクラブライフと言えそうですが、一方で、提供する馬の能力を見分けるという意味では難しさもあると。


谷川 まだ小さい馬で良い馬を見つける人は、本当のプロだと思います。大きくなってからの方が当たりやすいと言えば当たりやすい。小さい馬で良い馬を見つける人が本当のプロで、私はまだまだその域に達していないですね。


― とはいえ、データで見る成績は素晴らしいです。谷川牧場のターファイトクラブ中央提供馬は、ここ10世代で勝ち上がり率45.5%、2勝率36.4%、重賞馬率9.1%。これは、同クラブ内に限らず、あらゆるクラブの提供牧場の中でもトップクラスの成績で、人気になるのも当然と言えます。

最近の当歳募集からも、ファンディーナやヴァローアといったオープン馬が出ています。クラブには自信のある馬しか出さないと、日ごろからSNSなどでも発信されていらっしゃいますので、独自のチェックポイントをお持ちのはずです。ぜひ本日は詳しく教えてください。

愛馬に癒される風景を味わうために
牧場を訪れるのも当歳募集の一つの楽しみ方だ

ファンディーナとその初仔を比較してみる

― たとえば、ファンディーナの当歳時はいかがでしたか。当歳10月の募集写真を見ても、当歳とは思えないしっかりした造りをしており、見栄えがします。

ファンディーナの当歳10月時カタログ写真


谷川 自信はかなりありましたよ。血統もですけど、やっぱり骨量と筋肉量ですかね。当歳から大柄な馬でした。お母さん(ドリームオブジェニー)がとにかく大柄で筋肉質な馬だったのでその影響が大きいと思います。そして、ファンディーナは胸が深い馬でした。当歳のうちから胸が深い馬は面白いと思いますよ。胸が深いというのは骨格の影響ですから、だから成長してもずっと残ってますよね。 あとは、後肢のお尻の部分ですね。ファンディーナは腰角(ようかく)から殿端(でんたん)までが長かった。



― 成長しても大きくは変わらないという意味で、骨格は当歳馬の基本的なチェックポイントと言えそうですね。さて、ファンディーナ自身も当歳募集で、今回募集されるその初仔も当歳での募集となりました。お父さんはハービンジャーですね。この母娘の当歳カタログ写真を比較して見るといかがでしょうか?

今回募集されるファンディーナの2020 カタログ写真
(父ハービンジャー)

谷川 良いところは、ファンディーナに似て腹袋があるところですね。あと、やはり胸の深いところも受け継いでいます。見方によっては腹ボテに見えるかもしれませんが、この時期の当歳はこんな感じの馬が多いですから。


― この馬に限らず、当歳馬はお腹がポコッとしている形が多いと思いますが、これは当歳の成長過程に特有のものでしょうか?


谷川 これは青草をたくさん食べさせているからこういう形になるんです。えん麦を増やせば、もうちょっとシュッとしてきますよ。腹袋をつくる、と言うように、やっぱり腹袋があった方が将来的には良いんじゃないか、と昔から言われてますからね。


― 飼養管理によって馬体を造っているということですね。たしかに、特に牝馬であれば、腹袋がしっかりとある馬を好む方が多いですからね。長所が似ているということで、初仔の活躍も楽しみです。

本論に行く前にここで、今回放牧地で見せていただいたファンディーナの2020を、写真で紹介しておきましょう。以降の部位の解説でも同馬には登場してもらいます。ちょうど放牧を開始する時間でしたが、もちろん馬体はまだまだ幼い時期とはいえ、ボリュームとしなやかさが感じられ、取材スタッフにも動じることなく、僚馬を従えて放牧地に駆け出ていく姿は、皐月賞で1番人気に支持された母の仔らしく、独特のオーラを感じさせる馬でした。



脚の長さは当歳からあまり変わらない?

― それでは、当歳馬の見かたについて、もう少し掘り下げながらおうかがいできればと思います。 …
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第87回 ファンディーナの初仔で学ぶ当歳馬の見かた
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
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