2022-06-25現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

37.【種牡馬別】ブラックタイド産駒の見かた

先日、プライベートな旅行で、北海道にあるノーザンホースパークを訪れました。新千歳空港から送迎バスで15分ほどのところにあります。ポニーショーやひき馬、ホーストレッキングなど、馬と触れ合えるのはもちろん、豊かな自然に囲まれたレストランにおける料理も美味しく、競馬ファンでなくても十分に楽しめるテーマパークでした。

ノーザンホースパーク内には厩舎があり、観光客を乗せる乗用馬たちの馬房が並ぶ中、あの名繁殖牝馬ウインドインハーヘアがひっそりと過ごしていました。まさかこのような場所で出会えるとは思わず、本物かどうか目を疑い、馬房についている名札をウ・イ・ン・ド・イン・ハー・ヘアと1文字ずつ読み上げて確認してしまいました。



まさかの邂逅を喜び、「息子さんにはいろいろとお世話になりまして」とお礼を申し上げていると、ノーザンホースパークのスタッフさんに連れられた観光客たちがぞろぞろとやってきました。彼ら彼女らは競馬のことはほとんど知らない様子で、スタッフさんは馬という生き物についてこれ以上ないほど分かりやすく解説していました。1頭ずつ馬房を回り、乗用馬たちの愛らしさを紹介したのち、最後にウインドインハーヘアの馬房の前に全員が立ち止まりました。

「彼女はあのディープインパクトを生んだお母さんです」

スタッフが誇らしげに紹介しましたが、観光客の反応はいまひとつ。傍らで聞いていた私はアレっと不思議に思いましたが、スタッフはさすがに慣れているようで、「キタサンブラックという馬のお父さんを生んだ、つまりキタサンブラックのおばあさんにあたる馬です」と説明を加えると、オーという小さな歓声が上がりました。なるほど、一般の人たちにとっては、ディープインパクトよりもキタサンブラックの方が今や有名なのだと知りました。

ディープインパクトの全兄という意味

導入が長くなりましたが、そう今回はキタサンブラックの父ブラックタイドについて語っていきたいと思います。

ご存じのとおり、ブラックタイドはディープインパクトの全兄であり、戦績は最強馬であった弟には到底及びませんが、自身もスプリングSを制して皐月賞で2番人気に推されたような素質馬でした。500kg近くあった雄大な馬体だけを見れば、誰しもがブラックタイドを上に評価するはずです。ディープインパクトの種牡馬として唯一のウィークポイントであった馬体の小ささを最初からクリアしているのですから、初年度から150頭、それ以降も毎年100頭以上の牝馬を集めているのは納得です。

ここでひとつの疑問が湧いてきます。父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘアという血統的にはまったく同じであるディープインパクトとブラックタイドは、種牡馬としてどう違うのか? たとえば、父の名前を伏せて、生産馬の配合(血統表)を見せられたとき、私たちはどのように評価すべきなのでしょうか。

結局のところ、血統だけで馬を判断することの不可能性はここにあります。たとえ同じ血統構成であっても、ディープインパクトとブラックタイドは馬体から戦績など、何から何まで異なるように、やはりその仔であるディープインパクト産駒とブラックタイド産駒も全く違うと考えるのが正解のはずです。つまり、ディープインパクトの兄としてではなく、ブラックタイドはブラックタイドとして、まずは偏見なく馬体の見かたを探っていきたいと思います。

キタサンブラックの馬体

さて、ブラックタイドの走る産駒の馬体を語るとき、キタサンブラックについて語らないわけにはいきません。 …
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第37回 【種牡馬別】ブラックタイド産駒編
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
馬体の見かた講座
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