50.下村優樹獣医師(社台F)インタビュー【第5回】 [気性を見分けるポイント]
大変お待たせいたしました。社台ファームで獣医師として活躍する下村優樹さんへのインタビュー5回目です。ここからはいよいよ、馬を見分ける具体的なポイントについてうかがいます。今回はカイ食いや気性面について、専門家ならではの解説を頂きました。(下村獣医師への過去インタビューはこちら「第1回」「第2回」「第3回」「第4回」)
「顎(あご)」から見える将来性
―育成期から競走期に発症しやすい主な疾患について教えていただいたところで、このインタビューのテーマでもある、怪我をしない馬、健康な馬を見分けるポイントについて話を進めていきましょう。
下村優樹獣医師(以下、下村) 基本的に、競走馬として長く現役生活を送るためには、そこに至るまでも順調に来ていることが重要だと思います。母馬のお腹に宿ったときから私たちが管理し、生まれてからは、その馬の持っている素質や身体をいかに傷つけることなく、可能性を伸ばし、競馬場に送り出せるかどうかです。
乗り運動を始める前に大事なことは、しっかりと食べさせ、運動をさせて、蹄の管理をすることです。しっかりと食べれば体も大きくなりますし、体をつくるためには運動が必要ですし、脚先がしっかりしていないと走れませんからね。それらの点で順調に来ている馬こそが、これから競馬場に行って走る馬です。
それでは、具体的にどこを見るべきでしょうか。まず顎っぱりが良い馬は、しっかり食べていることの証明です。顎がしっかりしている馬で食べない馬はほとんどいません。顔の拡大図などで横顔を見てみると、顎が張り出ていることが分かると思います。育成期に入る前の募集の時点で、しっかりと食べられていないひ弱な馬は、この先、ストレスが掛かってきたときに不安があります。十分に食べることができないと、十分な調教が積めなくなり、馬体の成長も遅れてしまいます。
―馬の顎というのは、しっかりと食べているから大きくなるのでしょうか、それとも元々の骨格として顎が大きいからしっかりと食べられるのでしょうか。
下村 もともとの骨格もあるかもしれませんが、しっかりと食べるから顎が大きくなるという面はあります。顎っぱりが急激に良くなった馬のことをスタッフに聞いてみると、しっかりと食べられるようになったと言いますからね。馬というのは、寝ている以外はほとんどの時間採食行動をする動物なんです。よく動かしている部位が鍛えられて、発達してくるのは当然です。
下村優樹獣医師(以下、下村) 基本的に、競走馬として長く現役生活を送るためには、そこに至るまでも順調に来ていることが重要だと思います。母馬のお腹に宿ったときから私たちが管理し、生まれてからは、その馬の持っている素質や身体をいかに傷つけることなく、可能性を伸ばし、競馬場に送り出せるかどうかです。
乗り運動を始める前に大事なことは、しっかりと食べさせ、運動をさせて、蹄の管理をすることです。しっかりと食べれば体も大きくなりますし、体をつくるためには運動が必要ですし、脚先がしっかりしていないと走れませんからね。それらの点で順調に来ている馬こそが、これから競馬場に行って走る馬です。
それでは、具体的にどこを見るべきでしょうか。まず顎っぱりが良い馬は、しっかり食べていることの証明です。顎がしっかりしている馬で食べない馬はほとんどいません。顔の拡大図などで横顔を見てみると、顎が張り出ていることが分かると思います。育成期に入る前の募集の時点で、しっかりと食べられていないひ弱な馬は、この先、ストレスが掛かってきたときに不安があります。十分に食べることができないと、十分な調教が積めなくなり、馬体の成長も遅れてしまいます。
―馬の顎というのは、しっかりと食べているから大きくなるのでしょうか、それとも元々の骨格として顎が大きいからしっかりと食べられるのでしょうか。
下村 もともとの骨格もあるかもしれませんが、しっかりと食べるから顎が大きくなるという面はあります。顎っぱりが急激に良くなった馬のことをスタッフに聞いてみると、しっかりと食べられるようになったと言いますからね。馬というのは、寝ている以外はほとんどの時間採食行動をする動物なんです。よく動かしている部位が鍛えられて、発達してくるのは当然です。
「顔つき」「目つき」から性格を読む
下村
怪我をしない健康な馬というと、骨や体が丈夫というイメージがあるかもしれませんが、私はその前に性格ですとか、その馬の本質に獣医師として注目しています。 …