引退競走馬のリトレーニング現場を訪ねてきました
2500頭以上の元競走馬が活躍する乗馬クラブクレイン インタビュー
一口馬主を始めてしばらくすると、自分の出資馬が現役を引退した後どうなるのかという疑問が頭をよぎることがあります。牝馬であれば繁殖牝馬にと想像できますが、牡馬で種牡馬になれる馬はひと握りですから、それぞれの道を見つけていかなければなりません。そのうちの1つとして乗用馬への転向があります。
今回は引退競走馬のリトレーニングに積極的に取り組んでいる乗馬クラブクレインさんに伺い、競走馬が乗馬に転向する過程などについて取材してきました。
ご存知の通り乗馬クラブクレインさんは全国展開している大手の乗馬クラブですが、今回お伺いしたのはリトレーニング拠点もある「乗馬クラブクレイン千葉 富津」。都心から車で1時間ほどですが、のどかな風景に広大な敷地が広がります。
実はひとくちに元競走馬のリトレーニングといっても、レッスンに参加できる乗用馬を育成するものと、競技用を目指すリトレーニングの2種類があります。
乗馬クラブクレインさんの場合、前者は会員さんも一緒に参加され、指導員の補助を受けながら、自分たちで安全に取り扱える乗用馬を育成する形となります。そして今回はこちらの所長である加藤さんに、おもに後者の競技用に向けてのリトレーニングについてお話を聞くことができました。加藤さんは競技選手として全日本総合馬術選手権の元チャンピオンであり、シドニー五輪出場のオリンピアンでもあります。
今回は引退競走馬のリトレーニングに積極的に取り組んでいる乗馬クラブクレインさんに伺い、競走馬が乗馬に転向する過程などについて取材してきました。

乗馬クラブクレイン千葉 富津
ご存知の通り乗馬クラブクレインさんは全国展開している大手の乗馬クラブですが、今回お伺いしたのはリトレーニング拠点もある「乗馬クラブクレイン千葉 富津」。都心から車で1時間ほどですが、のどかな風景に広大な敷地が広がります。
実はひとくちに元競走馬のリトレーニングといっても、レッスンに参加できる乗用馬を育成するものと、競技用を目指すリトレーニングの2種類があります。
乗馬クラブクレインさんの場合、前者は会員さんも一緒に参加され、指導員の補助を受けながら、自分たちで安全に取り扱える乗用馬を育成する形となります。そして今回はこちらの所長である加藤さんに、おもに後者の競技用に向けてのリトレーニングについてお話を聞くことができました。加藤さんは競技選手として全日本総合馬術選手権の元チャンピオンであり、シドニー五輪出場のオリンピアンでもあります。

加藤大助さん
乗馬クラブクレイン千葉 富津所長。専修大学馬術部出身。全日本総合馬術選手権で優勝4回。シドニーオリンピック総合馬術個人/総合馬術団体出場など。
日本の乗馬クラブに元競走馬が多い理由は?
──この度は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。今回クレインさんに話を伺いたいと思ったのは、非常に多くの元競走馬が在籍している乗馬クラブだと聞いたからです。まずは元競走馬の具体的な頭数や比率を教えてください。
乗馬クラブクレイン千葉 富津 所長 加藤大助氏(以下、敬称略) 乗馬クラブクレインには現在(2024年4月)約3100頭の乗用馬がいて、そのうちの約2600頭が元競走馬です。85%ぐらいが、競走馬を引退して乗用馬に転向した馬ということになりますね。当クラブは国内40か所あり、馬房数も多いため、たくさんの元競走馬を受け入れることができています。
── 2000頭を優に超える元競走馬の活躍の場をつくっていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。実は僕は東京の町田に住んでいまして、今回の取材に際して調べていたところ、クレインさんは町田にもあることを知りました。
加藤 実は東京にはその町田(乗馬クラブクレイン東京)を含め、いわゆる乗馬クラブは4つしかありません。野球場1面・テニスコート1面・プール1面を合わせたぐらいの敷地、そこに厩舎スペースが必要ですから、それなりの広さが必要になってきます。そのため、どうしても神奈川や千葉、埼玉の方が乗馬クラブは多くなります。
──幸いにも近所にあって良かったです(笑)。全国に拠点が多いため、元競走馬の頭数も多いのは分かるのですが、比率が非常に多いのは何か理由があるのでしょうか?
加藤 日本でも20年ほど前から、「スポーツホース」という乗用馬品種の生産が馬術の世界では始まっています。ただ、数が限られていますので、元競走馬の転用が多いのが現状ですね。日本の馬産は、基本的にはサラブレッドの生産であり、競走馬の生産になります。そのため、乗用馬における元競走馬の比率は自然と高くなります。
また、競技をメインにされている乗馬クラブさんですと輸入馬が多くなってきますし、うちのように乗馬クラブで馬を持って、会有馬として会員さんに乗ってもらうところはサラブレッドが多くなってくる傾向はあります。乗馬クラブの特色によって、元競走馬の比率は違ってくるのではないでしょうか。
──元競走馬を乗馬に転用するためには、相応の訓練が必要だと思います。現在の体制を教えてください。
加藤 ここ乗馬クラブクレイン千葉 富津には、乗馬クラブだけではなく、競技をメインにする選手を集めた「エクエストリアンセンター」を併設しています。そこで競技会向けの馬のトレーニングと元競走馬のリトレーニングの両方を行っています。
エクエストリアンセンターには、うちのスタッフの中で試験を受けて選び抜かれた「グレナディール(トップライダー)」が所属しているので、元競走馬の若馬を預かり、乗馬レッスンに合うのかそれとも競技に向くのかを見極めた上で育て、全国のクレインに渡していく形になります。グレナディールには日本国内の競技を制覇するという目標があり、その過程で得られた経験や技術・知識を乗馬クラブクレインの会員さんにも還元していきたいと考えています。
乗馬クラブクレイン千葉 富津 所長 加藤大助氏(以下、敬称略) 乗馬クラブクレインには現在(2024年4月)約3100頭の乗用馬がいて、そのうちの約2600頭が元競走馬です。85%ぐらいが、競走馬を引退して乗用馬に転向した馬ということになりますね。当クラブは国内40か所あり、馬房数も多いため、たくさんの元競走馬を受け入れることができています。
── 2000頭を優に超える元競走馬の活躍の場をつくっていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。実は僕は東京の町田に住んでいまして、今回の取材に際して調べていたところ、クレインさんは町田にもあることを知りました。
加藤 実は東京にはその町田(乗馬クラブクレイン東京)を含め、いわゆる乗馬クラブは4つしかありません。野球場1面・テニスコート1面・プール1面を合わせたぐらいの敷地、そこに厩舎スペースが必要ですから、それなりの広さが必要になってきます。そのため、どうしても神奈川や千葉、埼玉の方が乗馬クラブは多くなります。
──幸いにも近所にあって良かったです(笑)。全国に拠点が多いため、元競走馬の頭数も多いのは分かるのですが、比率が非常に多いのは何か理由があるのでしょうか?
加藤 日本でも20年ほど前から、「スポーツホース」という乗用馬品種の生産が馬術の世界では始まっています。ただ、数が限られていますので、元競走馬の転用が多いのが現状ですね。日本の馬産は、基本的にはサラブレッドの生産であり、競走馬の生産になります。そのため、乗用馬における元競走馬の比率は自然と高くなります。
また、競技をメインにされている乗馬クラブさんですと輸入馬が多くなってきますし、うちのように乗馬クラブで馬を持って、会有馬として会員さんに乗ってもらうところはサラブレッドが多くなってくる傾向はあります。乗馬クラブの特色によって、元競走馬の比率は違ってくるのではないでしょうか。

今回の取材で登場してくれたリトレ中の元競走馬。サンティーニ(左・中央4勝)、ウエストンバート(右・中央3勝)はともに元一口クラブ馬でもある。なお、騎乗者の平永健太さん(右)は2018年アジア大会総合馬術団体の金メダリスト、樫木俊さん(左)は2023年全日本総合馬術選手権3位などの実力者。
加藤 ここ乗馬クラブクレイン千葉 富津には、乗馬クラブだけではなく、競技をメインにする選手を集めた「エクエストリアンセンター」を併設しています。そこで競技会向けの馬のトレーニングと元競走馬のリトレーニングの両方を行っています。
エクエストリアンセンターには、うちのスタッフの中で試験を受けて選び抜かれた「グレナディール(トップライダー)」が所属しているので、元競走馬の若馬を預かり、乗馬レッスンに合うのかそれとも競技に向くのかを見極めた上で育て、全国のクレインに渡していく形になります。グレナディールには日本国内の競技を制覇するという目標があり、その過程で得られた経験や技術・知識を乗馬クラブクレインの会員さんにも還元していきたいと考えています。
元競走馬のリトレーニングの実際
── 誰でも簡単にリトレーニングができるわけではなく、国内競技の制覇を目指すような選手たちだからこそ、元競走馬を乗馬レッスンもしくは競技会に向けてつくり変えていくことができるという訳ですね。 …












