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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

社台サラブレッドクラブ 推奨募集馬インタビュー

社台ファームインタビュー2020
昨年は、社台ファームのリニューアルされた坂路コースを見学させてもらい、厳選されたクラブ募集馬たちを間近で見せていただくという幸運を得ました。しかし今年はご存じのとおりの社会情勢により、自宅から一歩も出ることなく、Zoomでのインタビュー取材になりました。取材直前までは落胆を隠せませんでしたが、手元に届いた募集馬カタログの写真を見たとき、まるで日が差してきたような明るい気持ちになったのです。なぜかというと、今年ピックアップされた10頭のどの馬体も光り輝いていたからです。それぞれの馬の魅力について、社台ファームの青田さんに教えてもらいました。


昨年リニューアルされた社台ファームの坂路コースを坂下から
― 昨年は、リニューアルされた坂路における育成が手探りの部分もあったと思います。今年で2年目になりますが、昨年度と比べて育成過程において大きな変化はありますか?勾配(傾斜)が大きくなったことで、負荷の掛け方も変わってきたのではないかと思います。


社台ファーム 青田氏(以下、青田) 坂路がリニューアルされたことで、昨年もかなり負荷を掛けることができましたが、今年の2歳世代は、馴致の延長段階からすでに坂路コースに入っています。最初から坂路を用いたプログラムの中で準備をして、育成が進められた面はあります。段階を踏んでの負荷の掛け方がより細かくなったということです。負荷が掛かりやすくなったということでもあるので、そのあたりは常にチェックしながら進めています。ノウハウが積み重なっていき、今後の世代にもきっと反映されていくはずです。


― 今年のラインナップ、特にピックアップしてもらった10頭はどの馬も目移りするぐらい素晴らしいですね。今回はカタログ写真やウォーキング動画を見せてもらっただけですが、馬の出来の良さや健康さが画面越しに伝わってきました。ぜひ1頭ずつ教えてください。


※以下、カタログ番号の若い順にインタビューを行っており、各馬の並びは推奨の順位を示すものではございません。


【1】カラライナの19(・募集番号4)

美浦 国枝栄 厩舎予定 2/6
ディープインパクト (母父 Curlin)
6000万円 / 40 (1口 150万円)
― トップバッターはカラライナの19です。母カラライナはアメリカのG1を3勝した名牝であり、本馬は第2仔ですね。2016年のファシグティプトン・ノベンバーセールにて、カラライナが繁殖牝馬として300万ドルで購入されたときの映像や現役時代の写真を見ると、かなりゴツいというかマッチョなタイプであったことが想像されます。産駒もゴツいタイプをイメージしていましたが、父がディープインパクトということもあってか、全く重苦しさは感じさせませんね。


青田 お母さんのカラライナの映像を見たという方にとっては、たしかに母方の印象が薄れていくかもしれませんが、今は成長段階にあって、体高もグングンと伸びていますし、これから筋肉がついてきて幅も出てきそうです。骨量もある方なので、やがてはしっかりとした見栄えのする馬体になると思います。競馬に行く頃には450kgを超えてくるはずですよ。

とはいえ、お母さんにそっくりというわけではなく、父ディープインパクトらしさとのちょうど良いバランスに落ち着くのではないでしょうか。動かしたときの感触としては、手先の軽さがあり、かつパーツパーツにおいては母譲りのしっかりしたところも感じられます。

素晴らしい成績のお母さんに素直にディープインパクトを配合し、見栄えのする馬体の馬が生まれましたので、黙っていても期待は大きいですね。最大のセールスポイントは、父と母の融合というか、軽さと力強さ、どちらの良さもが出ている馬体でしょうか。瞳の澄んでいる顔立ちには、お父さんらしさが出ていますね。ディープインパクト産駒の実質の最終世代ということもあって、自信を持ってピックアップさせてもらいました。


― 性格的にはどのような馬ですか?精悍な顔つきからは、キリっとした面があるのかなと思わせられます。


青田 他の馬にちょっかいを出されると、カッとなる面はありますね。お母さんがあれだけの成績を残した馬ですから、その強さや闘争心を受け継いでいるのかもしれません。良いことだと思いますよ。人間とのコンタクトでは問題ありませんので、そのあたりを分かっている賢さもあります。


― 社台TCで募集されて、国枝厩舎に入厩したディープインパクト産駒の牝馬ということで、今年の牝馬クラシック戦線で活躍したマジックキャッスルをイメージしますが、比べるといかがでしょうか?


青田 最終的には、マジックキャッスルよりもガッチリとしたタイプになるのではないかと予測しています。距離適性としては、マイルから2000mがメインになると思いますが、それ以上の距離にも対応してくれるのではないでしょうか。この馬もクラシック路線で活躍するような馬になってもらいたいですね。


ディープインパクトらしいしなやかさと
しっかりした骨格が理想的なバランスだ




【2】ダリシアの19(・募集番号9)

美浦 高木登 厩舎予定 5/19
ロードカナロア (母父 Acatenango)
4000万円 / 40 (1口 100万円)
― 続いて、ダリシアの19です。母ダリシアはドイツのG3の勝ち馬であり、今年から日本で種牡馬となったアニマルキングダム(ケンタッキーダービーやドバイワールドカップを制覇)を誕生させた他、日本では父にディープインパクトを迎えてサトノキングダムやサトノダムゼルという活躍馬も出し、繁殖牝馬としても極めて優秀です。

実はサトノダムゼルのデビュー戦を競馬場のパドックで見て、とても綺麗で可愛らしい馬だと思ったことがあります。半兄のアニマルキングダムのイメージとは全く違っていて、ダリシアは種牡馬に応じて様々な産駒を出すのだと知りました。本馬は父がロードカナロアに替わって、ずいぶんと馬体がしっかりと出たように映ります。全体のフレームがガッチリとして、力強さを感じさせる馬体です。



青田 居並ぶ兄姉の名前が素晴らしいですね。今回の募集馬ラインナップにもロードカナロアの産駒は多くいますが、その中でもこの馬は血統的に光ります。この夏の間に、日ごとにどんどん変わっていきそうな感触を受けています。現時点では他馬に比べると馬体重こそ小さめですが、ゆくゆくは大型馬の域に入ってくるのではないかと思います。


― 父ロードカナロアは芝だけではなくダートでも走る産駒を出していますが、この馬はどちらに適性がありそうでしょうか?高木厩舎はダートの活躍馬も多く出していますので、そのあたりの期待もありますか?


青田 良い意味でどちらか決められない、どちらでもやれるタイプではないでしょうか。 …
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第82回 社台サラブレッドクラブ 2020推奨募集馬インタビュー
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
馬体の見かた講座
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