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2019-12-08現在データ
HOME > ノウハウ読み物 > 【馬体の見かた講座】73.ノーザンファーム空港でTCライオン募集馬を見てきました~2019年秋NF空港見学記
馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

ノーザンファーム空港でTCライオン募集馬を見てきました

2019年秋ノーザンファーム空港見学記
「今からでも出資できるノーザンファーム生産馬がいる」と聞き、ノーザンファーム空港に行ってきました。

2018年産のノーザンファーム生産馬は、どこのクラブをのぞいてみても満口状態であり、出資したくてもできないのが現状です。私もわずか2頭に出資することが叶いましたが、心のどこかで不完全燃焼の叫びが聞こえていたところでした。同じような気持ちを抱えて悶々としている一口ファンもいるかと思い、北海道に飛びました。そこには決して売れ残りではなく、国内セリの最高峰セレクトセールに上場・落札され、募集開始されたばかりのピカピカのノーザンファーム生産馬6頭が私を待っていたのでした。


抜けるような秋空の中、NF空港各厩舎にお邪魔しました
お忙しい中ありがとうございました



以前ノーザンファームに来たときに、施設の概要を詳しく説明してもらいました。直線距離が800mある坂路と1周1000mの周回コースの全天候型施設を主にして、ノーザンファームの馬たちは育てられます。個人的には全てのコースに屋根が付いていることよりも、坂路コースと周回コースの2つを使って馬をつくることができるのがノーザンファームの強みだと思っています。

周回コースで馬の身体をゆっくりとならし、走る身体ができ上がってきたら、坂路コースで長めを乗ったりスピードを上げたりして負荷をかけていく。坂路コースよりも周回コースを乗る方が乗り手の技術が求められるため、これら2つのコースをきっちりと活用していくためには馬に乗れる人材が揃っていることも鍵となります。環境と人材ががっちりとかみ合い、そして素質馬たちが集まることで、強い馬づくりのノウハウが蓄積されていく。そんな好循環を生み出しているのが今のノーザンファームなのです。
今回同行頂いたのは、サラブレッドクラブライオン競走馬担当の方。昨年から新体制で臨む同クラブは、今年のセレクトセールにおける「爆買い」で一躍注目を集めましたが、購入したノーザンファーム生産募集馬を全頭見せてほしい、という無理なお願いを快く聞き入れてくださいました。なお、今後もノーザンファーム生産馬購入は継続していきたいとのことで、今後の動向、成績に注目したいクラブの一つです。

ノーザンファーム空港事務局の方にご案内頂き、1頭ずつ育成厩舎を訪ねて見学させて頂きました。取材は10月後半でどの馬も既に馴致を終え、乗り込みを開始していますので、各育成担当の方にもお話を聞くことができました。なお、各馬の掲載順は当日の行程順であり、募集番号や推奨の順位を示すわけではありません。

【1】ジンジャーパンチの18(牡・募集番号1)

父 キングカメハメハ 栗東・矢作厩舎予定 3/4生
3億3,000万円(5000口)1口/66,000円
A-1と掲げられた厩舎の前で待っていると、ジンジャーパンチの18(父キングカメハメハ)が登場しました。秋の強い日差しに照らされて、栗毛の馬体が光り輝いています。大げさではなく、馬体から反射してくる光がまぶしすぎて、なかなか直視できないほど。それだけ皮膚に張りがあり、毛艶も冴えているということです。目を細めながら馬体を見ると、募集馬カタログの立ち写真で見たとおり、前駆にも後躯にもしっかりと実が入り、全身にも豊富な筋肉をまとい、全体のバランスが極めて優れています。現時点ですでに強い調教を課せそうなほど、完成度が高い馬体です。

育成担当者にジンジャーパンチの18について尋ねてみると、「普段は大人しくて優等生ですが、乗り出すとチャカチャカするところはありますね。最初は前肢があまり前に出ず、硬いところがあって、ダート馬かなと思ったこともありましたが、最近は上手く身体を使えるようになってきて、走りに柔らかさが出てきましたね。前と後ろの連動性が出てきて、乗っていてガタガタしなくなりました。値段も値段ですので、当然芝のレースからの使い出しになるはずです。今、馬体重が470kgぐらいありますので、デビューするときには500kg前後になるかなと思います。」

担当者の方と僕が話しているとき、終始、手綱を持つ手を甘噛みしようとする仕草を見せていたように、1歳馬の男の子らしい子供っぽさも残っていて、僕は安心しました。血統的には母がアメリカの古馬牝馬チャンピオン(G1レース6勝)、姉にルージュバックがいて、兄のポタジェは新馬戦を快勝し、馬体的にも非の打ちどころがない超エリートですが、可愛いところもあるのです。

セレクトセール当日のエピソードも聞きました。ジンジャーパンチの18は、矢作芳人調教師が「この馬は全てにおいて素晴らしいですよ」とピックアップしてくれた馬であり、億超えすることは明らかだったのですが、さる大物馬主と競り合った結果、2億円の大台に乗ってしまったそうです。その時点で矢作調教師はクラブにあきらめることを進言したところ、「ここまで来たら行くところまで行きましょう」というクラブオーナーの強い意志があって2億9000万円で落札に至ったとのこと。

あのときのセリで落札できなかった馬が種牡馬になったなんていう話はよくあることで、ジンジャーパンチの18に関してはオーナーがあきらめなかったからこそ、サラブレッドクラブライオンの会員さんが出資できるチャンスが生まれたということですね。通常は400口で募集しているクラブですが、今年度に募集する億越えの2頭に関しては、多くの会員さんに楽しんでもらいたいという想いも込め、5000口募集としたとのことです。

どの角度から見ても張りのあるさすがの好馬体
気性もどっしりしており超良血馬らしい一頭




【2】メジロルルドの18(牝・募集番号3)

父 ロードカナロア 栗東・矢作厩舎予定 2/23生
6,000万円(1000口)1口/60,000円
次に案内してくれたのは、メジロルルドの18(父ロードカナロア)がいる厩舎です。 …
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(連載中/つづく)
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。競馬ブログ「ガラスの競馬場」を主宰。当コラムの書籍も発売中
馬体の見かた講座
73.ノーザンファーム空港でTCライオン募集馬を見てきました 72.セリ市で学ぶ:馬を間近で見る実践 71.セリ市で学ぶ:背中の筋肉の見かた 70.馬体のメリハリ、目、顔つき 69.毛艶の良さから分かること 68.2019年社台サラブレッドクラブ推奨1歳馬を見てきました 67.なぜ社台ファームは坂路を「つくり直した」のか 66.[新種牡馬]ミッキーアイル&エピファネイア・キズナ・リアルインパクト 65.[新種牡馬]モーリス産駒の傾向と対策 64.[新種牡馬]ドゥラメンテ産駒の傾向と対策 63.新種牡馬の産駒を見る上で大切にすべきこと 62.【種牡馬別】キンシャサノキセキ産駒編 61.馬体のバランスを実例から見る 60.馬の動きを「メトロノーム」のイメージで見る 59.現役馬と1歳馬の違い、牡馬と牝馬の違い 58.「背中が良い」とはどんな馬? 57.素質以外に重要な要素 56.ゲートの出方は天性のもの? 55.胴体から距離適性を見分ける 54.セリ上場馬とクラブ募集馬の違い 53.【種牡馬別】ロードカナロア産駒編 52.【種牡馬別】オルフェーヴル産駒編 51.下村獣医師に聞く6[丈夫な馬体とは] 50.下村獣医師に聞く5[気性の見分け方] 49.梁川正普氏インタビュー【後編】 48.梁川正普氏インタビュー【前編】 47.秋田博章氏インタビュー【後編】 46.秋田博章氏インタビュー【中編】 45.秋田博章氏インタビュー【前編】 44.下村獣医師に聞く4[脚元の健康] 43.下村獣医師に聞く3[ノドの病気] 42.下村獣医師に聞く2[疲れやすい馬体とは] 41.下村獣医師(社台F)に聞く1[OCDと骨瘤] 40.【応用理論】2)馬体評価プロセスの体系化 39.【応用理論】1)より実践的な馬体の見かたへ 38.【種牡馬別】シンボリクリスエス産駒編 37.【種牡馬別】ブラックタイド産駒編 36.【種牡馬別】クロフネ産駒編 35.【種牡馬別】ゴールドアリュール産駒編 34.【種牡馬別】ハービンジャー産駒編 33.ハリー・スウィーニ氏インタビュー【後編】 32.ハリー・スウィーニ氏インタビュー【中編】 31.ハリー・スウィーニ氏インタビュー【前編】 30.【種牡馬別】ネオユニヴァース産駒編 29.【種牡馬別】ダイワメジャー産駒編 28.【種牡馬別】ハーツクライ産駒編 27.【種牡馬別】キングカメハメハ産駒編 26.【種牡馬別】ディープインパクト産駒編 25.岡田牧雄氏インタビュー【後編】 24.岡田牧雄氏インタビュー【中編】 23.岡田牧雄氏インタビュー【前編】 22.基礎編を振り返って 21.「歩様」は前から見ると分かりやすい 20.「歩様」を見る際の4つのポイント 19.歩き方の種類と「歩様」の基礎 18.「内向・外向」、「後肢」の肢勢 17.馬の肢勢~「前肢」の注意点 16.「飛節」を見るポイント 15.「後ろ脚の筋肉」の見かた 14.馬の生命線となる「蹄」 13.脚下のパーツ「球節」「繋」 12.前脚のパーツ「前腕」「膝」「管」 11.肺と心臓をあらわす「胸」 10.「尻」と「尻尾」の見かた 9.「背中」の見かたと「腹」との関係 8.「首」「き甲」「肩」を見る時のポイント 7.心を映し出す「目」と「耳」 6.理想的な「頭部」とは? 5.さまざまなプロポーションの見方 4.馬体のプロポーションから分かること 3.父に似ていることには意味がある 2.美点を見るか欠点を見るか 1.はじめに
(連載中)