2021-06-12現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

49.梁川正普氏(ヤナガワ牧場代表)インタビュー【後編】

前回から引き続き、ヤナガワ牧場代表の梁川正普さんにお話をうかがいます。今回は、馬体と配合論について、生産者ならではの興味深いお話を頂きました。

配合と馬体の関係

― 今回、どうしても梁川さんに聞きたかったのは、血統と馬体の関係性についてどう考えているかということです。自分で配合を考えて生産をした馬が大きなレースで活躍するのは生産者冥利に尽きると思いますが、梁川さんはどのように配合を決め、馬体をどのように見ているのかを教えていただきたいと思います。

梁川正普氏(以下、梁川) どの関係者さんもそうだと思いますが、普段から繁殖牝馬を見て、生まれてくる仔たちを見て、この配合でこのような馬体の馬が出てくるのであれば、来年はあの種牡馬をかけてみようかなと常々考えています。その繰り返しです。競馬場のパドックを見ているときも同じです。この馬の父は何だろう?この種牡馬はこのような産駒を出すのか、それじゃあ今度種付けしてみようかなと考えたりもします。想像するしかないですね。

ただ、走っている馬と同じ配合(血統構成)をしても、全く走らない馬が生まれてきたりします。自分の所有している繁殖牝馬の体型が違うと、全く違う馬(体)になってしまいます。そのあたりが難しいところです。


― 馬体を見て配合を考えたり、血統から馬体を想像したりの繰り返しということですね。実際に馬体を見て配合を考えるときに、重視するのは繁殖牝馬の馬体ですか、それとも種牡馬の馬体ですか?

梁川 どちらもですね。繁殖牝馬の馬体も完璧で、種牡馬もそうであれば、非の打ちどころがないのだと思いますが、実際のところは、完璧な馬体の馬同士の配合なんてほとんどあり得ないわけです。その時々によって、良い部分を伸ばす配合と欠点を補う配合のどちらも考えていかなければなりません。

繁殖牝馬はスピードがありそうな馬体だから、さらにスピードのある種牡馬をかけてみようと考えることもあれば、種牡馬は長めのところが走れそうなタイプを配合することもあります。配合パターンやこだわりはなくて、この種牡馬を配合したら良い産駒が出るのではないかという感覚を大切にしています。臨機応変に考えるようにしています。


― ヤナガワ牧場の凄みは、あらゆるジャンルの名馬が誕生していることにもあると私は思います。キタサンブラックのように天皇賞・春や有馬記念を制するようなステイヤーからダート戦線で王道を進んだコパノリッキー、かつてはサンライズバッカスやサンライズペガサス、コパノリチャード、ブラボーデイジー、最近ですとサンライズノヴァやアレスバローズなど、芝・ダート、距離を問わず活躍しています。馬体や血統に対する柔軟な思考がそうさせているのではないかと私は思います。

梁川 たしかに、コパノリッキーはダートを走りましたが、同じアリーウインから派生している牝系のサンライズペガサスは芝でした。まあコパノリッキーは、引退式の芝での走りを見たとき、「この馬、芝でも走りそうだな」と思いましたけどね(笑)。フェブラリーSを勝ったサンライズバッカスの母リアルサファイヤは、フラワーカップの勝ち馬であり、ダートの条件戦でのちのダービー馬であるウィナーズサークルを負かしていますしね。この馬はダート、この馬は芝といったように、あまり決めつけて考えないようにはしています。

キタサンブラック配合の理由

― これはどの競馬関係者も聞きたいと思っているはずですが、どのような考えで、短距離を得意としたサクラバクシンオーの肌馬にブラックタイドを配合したのですか?

梁川 母シュガーハートは競走成績のない馬ですが、母の父がサクラバクシンオーである以上、スピードがあるのは確かだと考えました。 …
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著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。競馬ブログ「ガラスの競馬場」を主宰。当コラムの書籍も発売中
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