一口ライフをもっと楽しくもっと便利に! 一口馬主の総合情報サイト
2020-11-23現在データ
HOME > ノウハウ読み物 > 【馬体の見かた講座】81.G1サラブレッドクラブ 2020推奨募集馬インタビュー
馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

G1サラブレッドクラブに聞く
今年の推奨募集馬

G1TC/追分ファームインタビュー2020
今年は初めて追分ファームに実馬を見に行くのを楽しみにしていましたが、社会情勢により見学ツアーもなくなり、個別の見学も休止という状況になってしまい、非常に残念で仕方ありません。その思いは他の出資者の方々も同じでしょうから、各馬ができる限り立体的に感じられるように、G1サラブレッドクラブの長澤さんと追分ファームの井上さんにインタビューさせていただき、カタログや動画だけでは伝わり切らない情報を提供したいと思います。


追分ファームと菜の花畑の風景(クラブ公式ツイッターより)
― 先日、G1サラブレッドクラブの公式ツイッターにて、追分ファーム周辺にある菜の花畑のスポットが紹介されており、その美しい風景に心が癒されました。一面に広がる菜の花畑を目の前に想像しながら、インタビューさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。


G1TC 長澤氏(以下、長澤) こちらこそ、よろしくお願いします。あの風景は、追分ファームの本場の方ですね。例年どおり牧場見学ツアーがあれば、こういった景色もご覧いただけたのに。私たちも誠に残念です。

G1サラブレッドクラブは今年で10周年を迎え、11回目の募集となります。追分ファームがメインですが、社台グループの4牧場(社台ファーム、ノーザンファーム、白老ファーム、追分ファーム)すべてから生産馬の提供を受けているのは当クラブの特徴のひとつです。


追分ファーム 井上氏(以下、井上) その中で、今回は私ども追分ファームの生産募集馬の中から、何頭かピックアップして紹介させてください。


― 追分ファームからは合計8頭の推奨馬を頂きましたので、一頭ずつ詳しくお話を聞かせてください。また、他の牧場生産の募集馬についても、最後に長澤さんから推奨馬リストを紹介頂ければと思います。


※以下、カタログ番号の若い順にインタビューを行っており、各馬の並びは推奨の順位を示すものではございません。


【1】フォーエバーモアの19(・募集番号G3)

4/3 美浦 鹿戸雄一 厩舎予定
ロードカナロア (母父 ネオユニヴァース)
3400万円 / 40 (1口 85万円)
― トップバッターは、フォーエバーモアの19ですね。フォーエバーモア自身も追分ファームの生産馬で、中央競馬で計4勝を挙げ、そのうちクイーンカップ(GⅢ)を勝利し、阪神ジュベナイルフィリーズで3着の実績がある名牝です。本馬は2番仔であり、お父さんがスクリーンヒーローからロードカナロアに変わりました。

カタログの立ち写真を見せてもらいましたが、正直驚きました。とにかく馬体のバランスが良くて、余計な肉がついておらず、非の打ち所がない理想的な立ち姿をしています。いかにも走るロードカナロア産駒らしいですね。僕は自分もひとりの出資者としてインタビューさせてもらっていますので、さすがに心が動かされました。



井上 おっしゃるように、当歳時からバランスの取れた好馬体の持ち主でしたし、顔つきには品があり、皮膚感も含めて全体的な雰囲気がとても良い馬です。付くべきところに筋肉がしっかり付いて、無駄のない馬体であり、その分、手先の軽さがあり、動かしてみて切れのある走りをしています。馬体の出来の良さだけではなく、血統面も含めて、自信を持ってピックアップさせてもらいました。お母さんのフォーエバーモアは、リリーバレーの育成馬としては初めてJRAの重賞を勝ってくれた馬であり、私たちとしても特に思い入れのある馬です。今回、父にロードカナロアを迎えたこともあり期待は大きいです。


― 個人的には、フォーエバーモアに名種牡馬の地位を不動なものにしたロードカナロアという配合で3400万円という募集価格は、かなり抑えられているなと感じます。


井上 そうですね。生まれが4月ということもあるのですが、体重だけでいうと少し小さめではあります。ただ、お母さんのフォーエバーモアもそうでしたが、体重の割に体高があり、四肢が長めの体型ですので、パッと見たときに小さいという感じは受けないと思います。最初は馬体の幅が薄くても、調教やレースを重ねつつ、少しずつ幅が出てきて成長していくのではないでしょうか。お母さんは芝の重賞だけではなく、古馬になってからダートのレースを勝ち、ダートのオープン戦や重賞路線でも走りましたから、本馬も体つきは変わっていく可能性はありますね。

ロードカナロアの仔は特に、調教がスタートして2歳の春ぐらいから大きく変わってくる馬が多いですし、この馬は現時点でもバランスの取れた馬体を誇っていますので、さらなる成長が楽しみです。体型や動きを見る限りは、芝でこその馬だと考えています。お母さんもデビューから2連勝して、阪神ジュベナイルフィリーズに駒を進め、3歳になってクイーンCを勝って、桜花賞、オークスのクラシック路線に乗ったように、やはり距離的にはマイルから中距離戦が適しているかなと思います。早い時期から活躍できるはずですので、桜花賞ではお母さんの無念を晴らしてもらいたいと願っています。


― 普段の性格や気性についても教えてもらえませんか?


井上 お父さんのロードカナロアの産駒は素直な気性の馬が多く、この馬も人間に対して従順です。ただ、周囲の物事や物音に対する反応の速さも持っていますので、そういう意味では、レースに行っての瞬発力として生きるはずです。性格は従順であっても鈍感なタイプの馬もいますが、この馬は違いますね。チャカチャカするのではなく、性格のメリハリがあるということです。オンとオフがしっかりしています。そうした反応の良さはとても大切だと思います。心身ともに素質の良さが伝わってくる馬です。


― 顔つきも良いですし、今おっしゃってくれた性格の良さが写真からも伝わってくるようです。お姉さん(父スクリーンヒーロー)との違いや似ている点はありますか?


井上 お姉さんは初仔ということもあって、馬体が小柄です。今、リリーバレーで調教を重ねており、現時点で410~420kgを推移しているぐらいの馬体重です。ただ、調教を重ねるにつれて動きは良くなっているので、さすがフォーエバーモアの仔だなと感じます。お姉さんに比べると本馬は大きめであり、最終的に450~460kgぐらいで走ることになると考えています。母フォーエバーモアも祖母エターナルビートも、それぐらいの馬体重で走っていた馬でしたから。


ロードカナロア牝馬らしい澄んだ瞳が印象的
体高はあるため筋肉が付くと迫力ある馬体になりそうだ




【2】メーデイアの19(・募集番号G7)

3/25 美浦 堀宣行 厩舎予定
ドゥラメンテ (母父 キングヘイロー)
3600万円 / 40 (1口 90万円)
― 続いてメーデイアの19です。母メーデイアはJBCレディスクラシックの勝ち馬であり、地方交流重賞を6勝した堅実なダートの名牝でしたね。本馬は3番仔であり、ひとつ上の兄(父キングカメハメハ)は6000万円で募集されていました。父が新種牡馬ドゥラメンテに変わって、どのあたりが違いますか?


井上 母はダートの牝馬チャンピオンであり、父には初年度産駒から評判の良いドゥラメンテを迎えた、今年度の募集馬の中でも目玉の1頭となります。この母系(一族)の特徴として、成長がゆっくりなタイプであることが挙げられます。お母さんのメーデイアもデビュー戦でタイムオーバーとなり、スーパー未勝利で何とか勝ち上がって、5歳になってようやく地方重賞を3連勝することができました。さらに一族のサングレーザーも、3歳の春のクラシックは出走できず、秋になって本格化した馬でした。レースを使いながら、素質に少しずつ磨きをかけていき、花開くというタイプの馬が多い一族です。

本馬の馬体を見てもらっても、まだ腰高で成長途上だと思わせますが、体のバランスは放牧を重ねるにつれて日に日に良くなっていますし、やはりこの牝系の血統どおりの成長力を秘めているのだなと感じます。


― お父さんのドゥラメンテも、トニービンが入っている影響か、産駒は成長がゆっくりという傾向がありますからね。 …
本コンテンツは、プレミアム会員登録でご覧いただけます。
全文10593文字 (現在3420文字まで表示)

プレミアム会員ご案内
すでにプレミアム会員の方は ログイン してご覧ください
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。競馬ブログ「ガラスの競馬場」を主宰。当コラムの書籍も発売中
馬体の見かた講座
87.ファンディーナの初仔で学ぶ当歳馬の見かた 86.一口馬主は血統の割に「高い馬」「安い馬」どちらを狙うべきか 85.個人馬主として、重賞馬に出会うまでに学んだこと 84.2020春クラシック活躍馬の馬体分析【牡馬編】 83.2020春クラシック活躍馬の馬体分析【牝馬編】 82.社台サラブレッドクラブ 2020推奨募集馬インタビュー 81.G1サラブレッドクラブ 2020推奨募集馬インタビュー 80.イスラボニータ、ロゴタイプ、サトノアラジン産駒の傾向と対策 79.ドレフォン、キタサンブラック産駒の傾向と対策 78.エピファネイア&キズナの好発進とこれからの社台SS 77.【種牡馬別】ルーラーシップ産駒編 76.下村獣医師に聞く[見学ツアーで馬を見るときのポイント] 75.下村獣医師に聞く[馬体が「ゆるい」とは?] 74.下村獣医師に聞く[去勢の狙いとメカニズム] 73.ノーザンファーム空港でTCライオン募集馬を見てきました 72.セリ市で学ぶ:馬を間近で見る実践 71.セリ市で学ぶ:背中の筋肉の見かた 70.馬体のメリハリ、目、顔つき 69.毛艶の良さから分かること 68.2019年社台サラブレッドクラブ推奨1歳馬を見てきました 67.なぜ社台ファームは坂路を「つくり直した」のか 66.[新種牡馬]ミッキーアイル&エピファネイア・キズナ・リアルインパクト 65.[新種牡馬]モーリス産駒の傾向と対策 64.[新種牡馬]ドゥラメンテ産駒の傾向と対策 63.新種牡馬の産駒を見る上で大切にすべきこと 62.【種牡馬別】キンシャサノキセキ産駒編 61.馬体のバランスを実例から見る 60.馬の動きを「メトロノーム」のイメージで見る 59.現役馬と1歳馬の違い、牡馬と牝馬の違い 58.「背中が良い」とはどんな馬? 57.素質以外に重要な要素 56.ゲートの出方は天性のもの? 55.胴体から距離適性を見分ける 54.セリ上場馬とクラブ募集馬の違い 53.【種牡馬別】ロードカナロア産駒編 52.【種牡馬別】オルフェーヴル産駒編 51.下村獣医師に聞く6[丈夫な馬体とは] 50.下村獣医師に聞く5[気性の見分け方] 49.梁川正普氏インタビュー【後編】 48.梁川正普氏インタビュー【前編】 47.秋田博章氏インタビュー【後編】 46.秋田博章氏インタビュー【中編】 45.秋田博章氏インタビュー【前編】 44.下村獣医師に聞く4[脚元の健康] 43.下村獣医師に聞く3[ノドの病気] 42.下村獣医師に聞く2[疲れやすい馬体とは] 41.下村獣医師(社台F)に聞く1[OCDと骨瘤] 40.【応用理論】2)馬体評価プロセスの体系化 39.【応用理論】1)より実践的な馬体の見かたへ 38.【種牡馬別】シンボリクリスエス産駒編 37.【種牡馬別】ブラックタイド産駒編 36.【種牡馬別】クロフネ産駒編 35.【種牡馬別】ゴールドアリュール産駒編 34.【種牡馬別】ハービンジャー産駒編 33.ハリー・スウィーニ氏インタビュー【後編】 32.ハリー・スウィーニ氏インタビュー【中編】 31.ハリー・スウィーニ氏インタビュー【前編】 30.【種牡馬別】ネオユニヴァース産駒編 29.【種牡馬別】ダイワメジャー産駒編 28.【種牡馬別】ハーツクライ産駒編 27.【種牡馬別】キングカメハメハ産駒編 26.【種牡馬別】ディープインパクト産駒編 25.岡田牧雄氏インタビュー【後編】 24.岡田牧雄氏インタビュー【中編】 23.岡田牧雄氏インタビュー【前編】 22.基礎編を振り返って 21.「歩様」は前から見ると分かりやすい 20.「歩様」を見る際の4つのポイント 19.歩き方の種類と「歩様」の基礎 18.「内向・外向」、「後肢」の肢勢 17.馬の肢勢~「前肢」の注意点 16.「飛節」を見るポイント 15.「後ろ脚の筋肉」の見かた 14.馬の生命線となる「蹄」 13.脚下のパーツ「球節」「繋」 12.前脚のパーツ「前腕」「膝」「管」 11.肺と心臓をあらわす「胸」 10.「尻」と「尻尾」の見かた 9.「背中」の見かたと「腹」との関係 8.「首」「き甲」「肩」を見る時のポイント 7.心を映し出す「目」と「耳」 6.理想的な「頭部」とは? 5.さまざまなプロポーションの見方 4.馬体のプロポーションから分かること 3.父に似ていることには意味がある 2.美点を見るか欠点を見るか 1.はじめに
(連載中)