2021-06-12現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

57.シュウジデイファーム 石川秀守氏インタビュー【中編】

素質以外に重要な要素
前回に引き続き、数々の活躍馬を送り出す浦河の育成牧場、シュウジデイファーム代表 石川秀守氏へのインタビューをお届けします。今回は、シュウジデイファームの育成スタイルから、馬体を見る上でのポイントまで教えて頂きました。

本格的に追わないと馬の力は分からない

― シュウジデイファームさんは、しっかりと追い切って入厩させることで知られています。時計でいうと、どれぐらいを目安にしているのでしょうか。


石川 もちろん調教師さんによって要望は異なりますが、基本的にはしっかりと動かして、3ハロン36秒から37秒台の時計を出してからトレセンに送り出します。普通に15-15ぐらいの時計で走らせても、なんとなくの動きや息遣いの良さしか把握できませんよ。その馬の力が本当に分かるのは、最後にステッキを入れるなりして本格的に追い出してからです。

苦しくなって頭を上げてしまう馬もいれば、さらにグッと首を沈めて走り出す馬もいます。時計にしても、テンから無我夢中に走って、終いバテてしまうような逆時計ではなく、ハロンごとに速くなるような走りが理想的です。そのあたりの動きと時計を見ると、この馬は新馬戦でも良い走りができそうだなと分かります。

トレーニングで重視しているポイント

― ハードなトレーニングを課すのはシュウジデイファームさんのスタイルだと思いますが、馬をケアすることにおいて、重視しているポイントなどはありますか?

石川 2つあって、そのうちのひとつは、複数の人の目で観察すること、見逃しを防ぐために、複数人で馬を見ることです。脚元からカイ葉食いや水分摂取、ボロの形状、馬の様子など、ありとあらゆることを観察します。人間なのでどうしても思い込みもありますし、朝、2、3人でチェックして、異常があれば早目に気づいてあげることが大切です。

もうひとつは、すぐに冷やすこと。前回お話した競輪の山田裕仁さんもおっしゃっていましたが、落車などのケガをするとすぐに冷やしていたそうです。競走馬にも同じことが当てはまり、とにかくすぐに患部を冷やすことで、症状が悪化したりせず、大きなケガを未然に防ぐこともできるのです。馬の脚に細いホースを巻き付けて、水道水を流して冷やすのですが、いきなりだと馬が驚いてしまうため、1歳の頃から脚元を冷やすことに慣れておいてもらわなければいけませんね。


― 慣れると言えば、シュウジデイファームさんでは、BTCに調教に行くときも馬運車に馬を乗せて連れて行くため、トレセンに入厩する頃にはすでに馬運車慣れしていると聞きました。


石川 BTCとは距離が少し離れていますので、馬運車に乗せます。乗ってしまえば5分ぐらいの距離なのですが、乗り降りにその倍の時間が掛かってしまいます。無駄な時間なように思えますが、実はその無駄が大事なのです。うちの馬は1歳の早い時期から乗り降りの練習をすることになります。競走馬としてデビューするときには、馬運車に安全に乗って移動しなければいけませんし、また狭いところに入ることに慣れることはゲート練習ともつながってきます。


素質以外に重要な要素

―実際にサラブレッドの育成(馴致や調教等)にたずさわる中で、この馬は走ると感じる馬の特徴のようなものはありますか?

石川 レースを使いながらも、良くなってくる馬だと思います。 …
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著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。競馬ブログ「ガラスの競馬場」を主宰。当コラムの書籍も発売中
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