2023-06-04現在データ
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馬体の見かた講座
馬を見る上での考え方から各馬体パーツの基本、種牡馬毎の特徴、専門家へのインタビューも
治郎丸敬之 著 / 連載中

53.【種牡馬別】ロードカナロア産駒の見かた

種牡馬別の馬体の見かたとして、今回は初年度から快進撃を続けているロードカナロア編をお届けします。産駒は続々とデビューして勝ち上がり、クラスが上がっても頭打ちになることも少なく、いきなりアーモンドアイという2冠馬も誕生しました。とにかくストレートに自身の能力を出し切っている産駒が多い印象を受けます。大きな期待が寄せられていたことは確かですが、いきなりその期待以上の勢いで活躍馬を誕生させていますね。

ロードカナロア自身の馬体

ロードカナロア自身についての評価は、「世界に通用したスプリンター」ということで誰もが一致するはずです。国内ではスプリンターズSから高松宮記念、安田記念まで、1200mからマイルまでのG1レースを制しただけではなく、世界中の強豪スプリンターが集う香港スプリントを連覇したことに価値があります。

日本競馬に対応するための軽いスピードや瞬発力だけではなく、香港競馬で問われるパワーやスタミナという、競走馬として必要なあらゆる資質を有していることを証明しました。個人的には、サクラバクシンオーが最強のスプリンターだと考えていましたが、ロードカナロアの出現によって、最強スプリンターの座を書き換えざるを得なくなりました。

産駒の特徴としては、とにかくどの馬も形(シルエット)が安定していることが挙げられます。ロードカナロア自身も、トモにしっかりと実が入って、付くべきところに豊富な筋肉が付き、脚元の構造もしっかりとしていて、募集時からすでに非の打ち所のない馬体を誇っていました。その馬体の良さが、産駒にもそのまま伝わっています。もちろん母系の特徴によって、短いところが得意そうな馬体であったり、長いところも走れそうな馬体に出たりしていますが、全体のシルエットの安定感は同じです。

アーモンドアイの募集時と成長後の馬体

まずは桜花賞とオークスを勝利したアーモンドアイから触れないわけにはいきません。

募集時の馬体は、表現が適切かどうか分かりませんが、実に普通でまともです。というのも、私自身も募集時にシルクホースクラブのカタログを見て、「普通でまともだな」と思ったことを覚えています。2年も経つと、ほとんどの馬の募集時の立ち写真のことなど忘れてしまうのですが、なぜ「普通でまとも」でしかなかったアーモンドアイの馬体写真を、これだけ印象深く、鮮明に思い出せるのでしょうか。ロードカナロアの初年度産駒だったからか、フサイチパンドラの仔であったからか。いずれにせよ、馬体にインパクトはなくても、何か訴えるものを持っていたからこそだと思います。

今回改めて、アーモンドアイの募集時の馬体を見てみると、この時点ではロードカナロア産駒らしい全体のフレーム(骨格)の正しさと安定感があります。 …
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第53回 【種牡馬別】ロードカナロア産駒編
著者
治郎丸敬之
新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」編集長。週刊Gallopにてコラムを連載中。当コラムの書籍も発刊
馬体の見かた講座
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